貴方と一緒に

第7話 ”友人”ならキスぐらいはするよね?

☆(一ノ瀬ヤマキ)サイド☆


浮気どころかとてつもない事をしていた。

えげつない事を.....。

俺はあまりの事にショックでフラフラになりながらカフェを佐奈子と一緒に素早く後にしてからコンビニまでやって来た。


それからお茶を買ってから.....というか佐奈子が買ってくれた。

俺はそのお茶を一気飲みする。

そして膝を曲げてから目の前を見る。


困ったものだな。

イライラとかじゃない。

気持ちが悪いしザワザワする。


「.....まあこういう事もあるのかな。人生だし」

「.....私はこれで裏の顔が知れて良かったって思う。あの女は初めから信頼できないって思っていたから」

「そうなんだな。.....お前は凄いな」

「いや。誰が見てもそうだと思うよ?何か雰囲気がね」

「いや。お前だけだ。凄いと思うぞ」


俺はそう言いながら「それは.....アイドルの磨きによるものか」と聞いてみる。

すると佐奈子は「かもね。皮肉なものだよ」と苦笑いを浮かべながら空を見上げる。

そんな姿を見ながら俺は額に手を添える。

(この先どうしたものかな)という感じで悩む。


「.....私ね。イッチー」

「何だ」

「色々な人を見たよ。応援してくれる人もいれば批判する人も居た。そしてアイドル間の嫉妬もあった。.....だから世の中は良い人ばかりじゃないんだ」


そう言いながら俯く佐奈子。

そんな姿に「そうか」と返事をする。

それから「お前も大変なんだな」と言葉を発した。

佐奈子は首を振る。


「君程じゃないけどね」

「そうか?だけど.....メチャクチャお前の方が大変そうだぞ」

「私は大変って程じゃないよ。もう慣れたしね。こういうの」

「.....」


俺は苦笑いを浮かべる佐奈子を見る。

そして佐奈子は膝を曲げて俺と同じ目線になる。

その様子に「?」を浮かべて佐奈子を見る。

佐奈子は「イッチーは私が守るからね。.....なんなら仕事もしなくて良いと思う。私が全て養ってあげる」と満面の笑顔を浮かべた。

そんな姿にドキッとしながら佐奈子から目線を逸らした。


「揶揄うなよ」

「至ってマジだよ?私は.....イッチーがお気に入りだから」

「.....」


顎に手を添えながら俺は佐奈子を見る。

佐奈子は柔和な顔をしながら俺を見てから赤くなる。

そして俺の手をゆっくり握ってきた。

「イッチーはもう恋はしないなら.....私を永遠の女友達として見てくれないかな?」と笑顔になる。


「え、永遠の女友達!?」

「そうだよ。私.....ずっとイッチーの横に居たいから」


飲み物のせいか。

それとも.....何か.....暖かい手である。

物凄く暖かい手だ。

赤くなりながら俺の手を握られる。


「.....イッチーの手。暖かいね」

「お前な.....良い加減にしろよ。猛烈に恥ずかしい」

「何故恥ずかしいの?」

「だってお前は美少女で.....しかも日本中で有名なアイドルなんだぞ」

「今はイッチーの女友達なだけだよ?」


そう言いながら俺を見てくる佐奈子。

それからっていうか。

何か.....顔が近い気がする。

俺は赤面しながら佐奈子を見る。


「.....」

「.....」


そのままキスをしそうになるが。

よくよく考えたらここは外だ。

コンビニの目の前。

これはいけない。


そう思いつつ俺は佐奈子を押し除けた。

それから「ダメだって。ここは外だぞ」と言う。

それに。


「.....俺とお前は付き合っている訳じゃない」

「そうだね。確かにそうだ」

「ああ」

「だけど友人ならキスをするものだよ?ワトソンくん。それに今は私はマスクだ。全くもってセーフだよ」

「.....は?」


そう思っているとマスク越しに俺の唇にキスされた。

俺は唖然とする思いで数秒間考え。

真っ赤に赤面した。

何を考えているんだコイツは!!!!?


「ま、待て!?こんな場所で.....他の人が見ているのに!」

「友人として我慢ができなかった」

「友人同士がキスをする訳ないだろ!お前良い加減に.....」

「私は友人としてフリーキスをしても良いと思う」

「思わねぇよ!?」


「何でだよ!?」と言いながら俺はフリーキスと名乗る事をした人物を見る。

コンビニの周りの人達は(何あのバカップル?)的な感じで見ていた。

急に恥ずかしくなる。

そしてカァッと真っ赤になっていると横の佐奈子も真っ赤になっているのに気が付いた.....無理するなって.....。

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