【映像記録】2019/09/02

[開始]


[00:00:00 - 00:00:18]

(映像は畳の上を映し出す)

(後ろで声を潜めて何か会話をしているのが聞こえる)


[00:00:23 - 00:00:52]

(端から恐らく高校生であろう男子学生4人が登場し、胡坐をかいて畳に座る)

「えー、今から俺らで、幽霊を召喚していきたいと思います。」

(他3人の歓声)

「なんかね、俺も昨日見つけたんだけど、『幽霊を召喚できました』みたいな事書いてるブログがあって。」

「それでそのブログ、方法ちゃんと書いてあったから、今日はそれを試そうかなって思ってまーす。」

「ちなみにカメラ回してる理由をぜひ。」

「びびってるからでーす、お前ら呼んだのもびびってるから。」

(他3人の笑い声)


[00:01:02 - 00:01:43]

(男子学生のうち1人が立ち上がり、横にある木製の柱を凝視する)

「こうやってね、確かこうやって木の顔っぽいところを探すって。」

「椅子とか机とかじゃなかったっけ。」

「木目ってのがあれば何でも良いみたいな書き方してたけど。」

「まあいいや、出せなかったらそこら辺の連れてくればいいっしょ。」

(他3人の笑い声)


[00:01:51 - 00:02:32]

「お、これ顔っぽくね。」

(立ち上がっている男子学生が柱に向かって指をさす)

「確かに顔っぽいね。」

(映像のピントが合っていないためか、それらしき木目を見ることは出来ない)

「じゃあとりあえずこれ使うか、マジックペンどこだっけ。」

「俺持ってる、はい。」

(座っている男子学生が、立ち上がっている男子学生にマジックを渡す。)

「ありがと。じゃ囲んでくよ。」

(立ち上がっている男子学生がマジックの蓋を開け、木目があるであろう場所を丸で囲む)

「これでよし。」

「そしたら後は召喚だけか。」

「楽しみだなほんと。」


[00:02:38 - 00:03:52]

(男子学生4人が一斉に目を閉じる)

「いいか、さっきの木目が顔になったやつがここ来るのを想像しろよ。」

「絶対飽きてエッチな妄想するやついるよなこん中に。」

「いたとしてお前だろそれは。」

(数十秒間沈黙)

「いまお前らの木目どこいる。」

「ちょうど玄関入ったところ。」

「今廊下いる。」

「トイレさせてる。」

「トイレさせてんじゃねーよ。」

(他3人の笑い声)

(数秒間沈黙)

「何か聞こえね。」

(微かに柱が軋む音が聞こえ始める)

「いや何も。」

「トイレ流す音でしょ、どうせ。」

「それお前な。」

(他3人の笑い声)

(数十秒間沈黙)


[00:04:01 - 00:04:38]

「俺真後ろまで来たから目開けるわ。」

「分かった。」

(男子学生のうち1人が目を開ける)

「何もいないんだが。」

「嘘だろ。」

「やっぱ嘘かよ。」

「待って俺も今目開けるわ。」

(もう1人の男子学生が目を開ける)


[00:04:40 - 00:06:02]

「えお前誰だよ。」

(あらゆる場所から木の棒を折ったような音が断続的に聞こえ始める)

(男子学生4人はこの間微動だにせず無言)


[00:06:03 - 00:06:08]

(他2人の男子学生が目を開ける)

(画角に映っている全ての扉がゆっくりと開き、そのうち左端の扉から木の枝のような腕が現れる)


[終了]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る