食べるという行為が、いつのまにかその結果を引き受けることになってしまったこの世界と、その挙げ句の果ての百年後の世界。両者を交互に行き来することで物語の全貌が浮かび上がってくる高度なテクニックが施された、百合SFの大傑作です。ダンスのように美しい場面転換もさることながら、奇想天外な世界観でもこの主役の三人は確実にここに存在するんだ!と確信させるような確かな描写力が物語を強固なものにしていて、戦慄するレベルで完璧な作品となっています。ギョッとする冒頭からほぐされるように浮かび上がっていく主人公たちの関係の始まりと終わり、摂食に意味を持たせてしまった地上唯一の種族の呪いを一身に浴びてしまった彼女たちの行く末を、どうか最後まで見届けてほしいです。