1話 蓮華寺その6

「オシャレ大学生と無縁の憂鬱」


さて、すっかり人もまばらになってきた丸太通り。

周辺には黄色く色付いたイチョウの木が立ち、風に揺れる葉が綺麗だったのだが、そう思ったのも束の間、銀杏の匂いが鼻に突く。

右に曲がれば平安神宮があり、あの大きな鳥居を見つつ、琵琶湖疏水を眺めながら南禅寺に立ち寄るのも好きなのだが、今回は目的違いであるからやむなし、北上する。


この辺りは京都大学生たちのテリトリーだと勝手に思っているが、頭の悪すぎる私はこの辺りを歩くとつい無意識に及び腰になってしまう。

なんと言っても、今後の日本を最前線で背負って立つであろう若者が練り歩いているのだ。

彼等の横を通るのに揉み手をせずには居られないのが社会人の性ではないだろうか。

とは言え、私も京都大学の学生が主人公の呆れるようなヘンテコ小説を多数読んだ身から言わせて貰うが、ここ最近の大学生はみんな至って普通のオシャレ学生も多い。

であれば、無闇矢鱈と平身低頭、意地の悪い老婆のように揉み手をする必要も無いのかもしれない。

イカれた京都大学生でなければ、その脅威は半分以下なのでは無いかと思うのである。


さて、出町柳駅までもう少しだ。

そうすれば、鴨川デルタも見えてくる頃だろう。

学生の憩いの場、大学生の色々が詰め込まれた、今となっては頗る有名なその地を楽しみに歩を進めるとしよう。

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