1話 蓮華寺その2

「朝の魔物と準備」


朝、平日に起きるよりも少し遅めの起床直後、支度を済ませるとすぐに出発し人が多くなる前に帰ってしまおうと考えていたのだが、ふと過ぎるライトアップされた紅葉のイメージ。そして、色合いに、暗がりの方が乙であるなとの考えが優勢になったことで出発時間を遅らせることとした。

その為、もう少しだけ布団に潜り、時間を潰すことにしようと目を閉じた。

別に昨日だらだらと夜更かしをしてしまい、朝起きるのが億劫であったとか、そんなことでは決してないのは留意して頂きたいものである。

独身三十路がそんな怠惰ではきっと部屋のホコリと間違われてルンバに吸われかねない。

まぁ、家にルンバなんてハイテクなものは無いのだが。


さて、とはいえ蓮華寺の入場時間は9時~17時である。

あまりに出立が遅れてしまうと蓮華寺に入ることすら出来なくなってしまうやもしれぬ。

二度寝直後の起き抜けの頭でそう思い立つと、支度を済ませ家を後にした。

ちなみに支度には2時間かかった。何故かは分からないが、不思議な事もあるものである。

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