第10話  長い一日

「本当にいいの?襲われるかもしれないよ」


「はいはい大丈夫、信じてます」

私は何度も念を押す悠さんに呆れながら、同じベットに入った。

隣から大きなため息が聞こえた。 ちょっと失礼過ぎませんか。


「あっそ。じゃあ電気消すよ!」


カチャッと音がして部屋が暗くなる

真っ暗ではなく茶色になった室内。

今日はいろんなことがあったな


意識を失ってこの世界に来た。

タイムリープ 多分そうだと思う


ここは彼だけがいない世界 私は彼に会えなかった


そして新しい校舎で 私は彼女と出会う


性格は少し騒がしいけど、いい人だと思う。 


何故かその子と同じベットで寝ているのよね


隣りにいる彼女を見ると、軽く寝息を立てて眠っているようだった。


「もう少し起きててよ」


布団からはみ出した彼女の手を掴んだら、ゆっくりと彼女の目が開いた。


「起きたの?」


「ひなの事考えてた。どんな人生だったのかなーって」


・・・私の人生か


今思い返すと、私の人生は結構幸運続きだった


高校に入るまでは つらいことも無くて 嫌なこともなく


毎日が楽しかった


それが楽しい明日になって


楽しい思い出は昨日になった


「・・・高校に入るまで私は辛いことも何もなかったよ」


悠が側にいることで 幸せは完結してた。


「あたし何年も前から、きっと幸せだったのね」


でもそれを維持するのに失敗した

「すぐ落ち込むのはもう習慣ね」よいしょって私の頬に手を伸ばして


「あたしがいるじゃん」そう言って頬を優しく撫でる。


「あなたの悠まではいかないけどね」


やさしい手

いつも頭を撫でてくれた 悠みたいだよ


「はい、お触り終了」

そう言って私は少し素っ気なく振りほどく。


「ちぇー美人の彼女が出来ると思ったんだけどなー」


なにそれ  私は少し笑って ゆっくりと目を閉じる


いろんなことがあった一日でした。


願わくばこれが夢じゃありませんように


冷たいベットは嫌だから

明日も温かい日になりますように 


私はそう願った

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