第37話 デートキャンセル後

 隆三はデートキャンセル後、空色は急に悪くなった。気象予報では晴れといっていたため、傘を準備していなかった。


 びしょぬれになるのを防ぐために、雨宿りできる場所にすぐさま避難。素早く行動したことで、間一髪で難を逃れられた。


 空から降っているのは非常に激しい雨。もろに受けていたら、服は瞬く間に濡れていた。


 雨に逃げ遅れてきたスーツ姿の男は、こちらにやってくる。顔、服などから大量の水滴が落ちており、雨の威力をまざまざと見せつけられた。


 通り雨だったのか、雨は五分ほどでやんだ。空が青くなったのを確認すると、本屋に向かった。 


 本屋に向かっている途中で、光、ともみと顔を合わせる。二人は傘を持っていたのか、服は塗れていなかった。

 

「七瀬君、奇遇だね」


「天音さん、奏楽さん。こんなところでどうかしたの?」


 隆三の質問に、ともみが答える。


「二人で喫茶店に行こうと思っているの。七瀬君もよかったら。一緒にお供しようよ」  


「楽しそうな時間を邪魔するのは悪いよ。二人でいってくればいいよ」


 光はどういうわけか、隆三の手をつかんだ。


「一緒に行こうよ」


「そうだよ。私たちと一緒に過ごそう」


 二人がOKしているのであれば、一緒に参加してもいいと思った。


「わかった。喫茶店に行こう」


 光、ともみの二人は無邪気に喜んでいた。


「やったー。すっごく嬉しい」


「代金については、七瀬君持ちにしよう・・・・・・」

 

 ともみのずうずうしい発言によって、喫茶店に行くモチベーションは一気にさがった。


「それならいいや。自宅に帰ってゆっくりと過ごすよ」


「七瀬君、嘘だよ。代金はそれぞれで払うようにするから・・・・・・」


 訂正されたあとも、モチベーションは回復しなかった。


「お金を持っていないから、喫茶店に行くのは次回にお預けしよう」


 美香に喜んでもらうために、2000円を用意していた。喫茶店に行くくらいなら、十分すぎるお金がある。


 光の怒りの矛先は、ともみに向けられた。


「ともみが余計なことをいうから。せっかくのチャンスを逃したじゃない」


「ごめん。本気にすると思っていなかったから・・・・・・」


 隆三は帰宅の意思を伝えたあと、一直線に家に向かった。二人の女性は追いかけてきたけど、振り向くことはなかった。

 

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