第32話 瞬殺(沙月編)
英彦が階段から落ちて全治一カ月以上。あまりのどんくささに、笑いは止まらなかった。
史上稀に見る最低レベルの運動神経で、相撲部によく所属しようと思えたものだ。相撲を取るところは見ていないけど、練習ですら一勝もできていなかったのではなかろうか。
沙月は廊下で、憧れの王子様を発見する。あの男と交際すれば、絶対に幸せになれるはず。
躊躇していては、幸せは逃げかねない。勢いに任せて、王子様に近づいていく。
「あの・・・・・・」
王子様はこちらを見るなり、一目散に逃げていく。追うことも考えたものの、今回はそうはしなかった。教師に目をつけられている状況で問題を起こせば、学校から処分を受ける。学校一のエリートが。レッテルをはられるのは許されない。
隆三、光、ともみの三人がおしゃべりをしている。隆三は普段と変わらないけど、二人の女は満面の笑みを浮かべていた。あの姿を見て、メスとしての反応を示しているのを確信した。地味、不愛想、不気味な男が、二人の女に同時に好かれるなんて夢を見ているみたいだ。
菊一は彼女と共に、学校にやってきた。両想いなのか、二人ともとっても幸せそうである。一方通行、両想いは明らかに異なる。
エリートは交際できないのに、凡人たちは次々と交際する。沙月はいらだったのか、聞こえるような歯ぎしりを立てた。
*沙月は自分の利益しか考えられないタイプなので、これからもどんどん矛盾した行動を取っていきます。
1月3日までは、毎日更新できそうです。1月4日以降については、今のところは未定です。
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