第26話 寝言💣

 ONE PIECEの曲を熱唱したあと、二人はすやすやと眠ってしまった。


 カラオケ終了までは、あと2時間ほどある。体をしっかりと休めてもらえればいいなと思った。


 隆三は立ち上がろうとすると、光、ともみに腕をつかまれる。力はかなり強く、身動きを取るのは難しい。


 三人のいるところに、女性店員がやってきた。隆三はタイミングの悪さに、軽いめまいを覚える。


「ド・・・・・・」


 女子店員は三人の姿を見るやいなや、


「失礼します」


 といっていなくなった。隆三は弁明と伝えようとするも、チャンスすら与えられなかった。女子店員に、ものすごい誤解を与えてしまった。


 店員がいなくなったあと、二人から爆弾発言が飛び出す。


「七瀬君、大好きだよ」


「私も七瀬君のことが大好き」


 寝言とはいえ、大胆なことをいっている。他に聞かれていたら、恥ずかしさで顔は真っ赤になるレベル。


 光、ともみとの接点はほとんどなかった。彼女たちはどんなきっかけで、好きという感情を抱くのか説明がつかない。隆三は二人の言葉は、寝言であると結論づけるしかなかった。


 カラオケルームに、先ほどの女子店員が戻ってきた。


「ドリンクはどうしましょうか?」


 光、ともみを起こすのは手間がかかる。隆三は直感で、彼女たちの好きそうなものを注文した。


「オレンジジュース3つで・・・・・・」


「かしこまりました・・・・・・」


 女子店員はお礼をしているのに、視線は二人の女性に向いていた。


 光、ともみは寝言をつぶやく。


「七瀬君、大好き」


「七瀬君、結婚しよう」


 店員はツボにはあったのか、店内で大笑いしてしまった。隆三は恥ずかしさのあまり、顔が真っ赤になった。


 女性店員は笑いをこらえたあと、


「オレンジジュースをお持ちします」


 といってお礼をする。笑いを完全に抑えきれていなかったのか、口元に再び手を当てた。

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