第20話 露骨に避けられる(英彦編)
隆三を突き落とす計画は学校中に知れ渡っていた。英彦は必死に否定するも、ボイスレコーダーの前では無力だった。
相撲部は厄介払いとばかりに、強制退部を突きつけてきた。こちらに拒否権はなく、すぐに退部となった。
クラスメイトからは、完全に相手されなくなった。英彦=危険人物であるという認識が根付いてしまっている。
教室にいても息苦しいだけ。英彦はコーラを買うために、自販機に向かうことにした。
英彦は歩いていると、あらゆる男女から距離を取られた。あなたとはもう関わり合いになりたくない、そのような意思を感じた。
自販機をふさぐように、4人ほどの女の子が立っている。こちらについても、あっという間に逃げていった。英彦=ゴキブリさながらの扱いだ。
自販機でジュースを買い終えたあと、すべてのボタンに液体がかけられる。そのあと、ていねいに拭かれる。英彦の手を付けたもの=素手で触ってはいけないものという認識になっているのか。さっきはゴキブリだったけど、さらに低い扱いを受けているのを感じた。
ボタンを拭いている女は、英彦の想い人であった。こんなところで会えるなんて、ラッキーだと思った。
英彦はチャンスを逃すまいと、光に声をかけてみる。
「ひ・・・・・・」
「黙れ・・・・・・」
光のおぞましい形相に、英彦はたじたじになった。
「私の大切な人を、どん底に叩き落そうとした。あんたのような奴に、話しかけられるのもうっとうしいわ」
光はボタンを拭き終えると、ハンカチをゴミ箱に投げ捨てる。
「私のにおいを嗅ぎたいなら、ハンカチを拾ってみたら。ストーカー体質の男には、お似合いの行動かもしれないね」
光がいなくなったあと、英彦はハンカチを必死に拾おうとする。どんなことをしたとしても、ハンカチを入手したかった。
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