第12話 隆三争奪戦の様相(光視点)

 一度だけならまだしも、二度も大きな失敗してしまった。本人からいわれたわけではないけど、大きく評価を下げたと思われる。


 心をひくために近づいているのに、結果は真逆になっている。私を嫌ってください、私だけは絶対にダメですよといわんばかりの行動を取っている。


 行動すれば評価を大きく下げ、前に進もうとしなければ何も始まらない。どちらもダメでは、完全なる八方塞がりである。


 美香は行動をすでに起こしたのか。頻繁にやり取りをする間柄ではないので、そこについてはわからなかった。


 一人で落ち込んでいると、ラインが送られてくる。


「光、元気にしている?」


「ともみ、まあまあといったところだよ」


 奏楽ともみは小学生からの大親友。心から信頼している、唯一無二の存在である。他の人には話せないことも、遠慮なく話すことができる。


 隆三に恋心を持っていることは、伝えていなかった。それをいってしまったら、関係が壊れてしまいそうだから。ともみから直接聞いたわけではないけど、私と同じ人に恋愛感情を持っている。


「光に伝えたいことがあるんだ」


 内容を聞かなくても、好きな人のことだとわかる。それでも、わからないふりをすることにした。


「ともみ、何かな?」


 ともみから帰ってきたラインは、予想と寸分たがわぬものだった。


「私は七瀬君のことが好き。光と奪い合うことになっても、彼と一緒になりたい」


 ともみには何もかもを読まれてしまっている。隠し通せないとわかったので、正直になることにした。


「私も七瀬君のことが大好き。ともみが相手だとしても、絶対に譲らないからね」

 

 美香を合わせて、三人で一つの席を奪い合う。二人もしくは三人が敗者になることは確定した。

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