11日目 出港後、沈没。または砂漠で死亡。
虫対策でつけた反発体質の影響だろうか。
島でエルフと月に守られている間は平和だった。
どの職に就いても船に乗るまでは生きていた。
しかしこの世界は魔素に頼り切った世界だ。
強い魔素反発体質は船の運航を妨げる。
最も近い停泊所につくこともできずに沈んだ。
そして、高確率で転移者も死んだ。
ある時は船の残骸に潰されて溺死。
ある時は反発体質がバレて海に放り出されて溺死。
ある時は船の魔素調節管理機構の魔素を飛ばしてしまい、船ごと爆死。
船上火事は悲惨だった。
爆死や焼死で死ねるのならいい方だ。
それを免れても溺死、停泊所に辿りついても罪人と罵られながら殺される。
運良く先の砂漠まで行かせてもらえても、そこまでに必ず反発体質に気づかれる。
そうなると魔法学の国へは行かせてもらえない。
連絡器の使い方も知らないし、反発体質なのでわかったところで使えやしない。
砂漠では金を奪われて死んだ。
これは何回繰り返してもここで死んだ。
この転移者は戦闘能力が無い。
砂漠は土産屋でさえ治安が悪く、毎日のように銃を持った強盗かテロリストが暴れている。
警察が来る日もあるが、砂漠の警察は自国民以外は財産を奪って信徒に肉を捧げてしまう。
そして、砂漠の国ではすぐに魔素切れを起こして翻訳魔法も消えてしまう。
言葉が通じねば自身が転移者だとも伝えられない。
唯一の助かる手段は転移者だと伝えることなのに、それができない。
エルフか魔法学の魔法士が様子を見に来るのは早くて5日後。
何回繰り返してもこれより早く来ない。
手遅れだ。
これは何かしらに守られねば砂漠で生き残れないのだろう。
転移者単独での乗船は駄目だ。
月が同行するように調節しよう。
やり直し。
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