第6話神林編-ネットから現実へ

「あのさ、もう一度付き合わない?」


 自分達は固唾を飲んで「頼むOKと言ってくれ!」とひたすらに願いました。


「ミルチーさ、事故にあった時本当は別れたくなかったでしょ。」


「...うん。寂しかった。事故にあった時は本当に自分を恨んだ。でも連絡が取りにくくなってしまうのに付き合い続けるのは神レン君も私も辛いかなって思ったの。でも私には神レン君しかいない。本当に自分勝手だと思うのはわかってる。でもあの日々にもう一度戻りたいの!」


 その時、ミルチーの目から涙が零れていました。


「おいおいなんで泣いてるんだよ。でもそれだけ想ってくれているってことだよね。自分もあの時に戻りたいと思った。改めて、これからよろしくね!」


 隣で聞いていた自分たちまで嬉しさと感動で泣きそうになりました。


 しかしここで泣くとバレてしまうという一心で必死に堪えました。


 その時、神林がミルチーの肩を寄せました。


「...ありがと。」


「俺たちもうカップルだろ?彼女が泣いてたらそっと寄り添うのが彼氏の役目だろ?」


 自分達は「神林かっこいいー!」って心の中で叫んでいました。


 夜空は神林とミルチーを祝福してくれているかのように花火が輝いていました。


 その時、ミルチーが質問をします。


「神レン君って名前なんて言うの?」


「神林レン。ミルチーは?」


「椎名咲希って言うんだ。これから本名で呼ばない?」


「いいよ。咲希。」


「ありがと。レン君」


 神林とミルチー...いや、咲希は人生最大の花火大会となったことでしょう。隣に神林の友達4人がいることも知らずに。その人生最大の花火大会はいよいよ大詰めに入っていました。一つ一つ大きな花火が次々と上がる中、その場にいた全員は皆夜空を見上げていました。


 花火が終わり、神林と咲希がその場を離れた後、自分達は変装を解きました。


「いやぁぁ〜良かったな神林!」


「まさかミルチーから仕掛けてくるとはな。」


「神林の答えめっちゃかっこよかったな!」


「ほんとそれ。あんなの誰でも惚れるだろ。」


 ホテルまでの帰り道、神林についての会話は止むことはありませんでした。


 そして『一応』おやすみと言い消灯しました。


 そして翌朝、4人とも眠そうに目を覚ましました。なぜなら4人とも興奮で寝れずにほぼオール状態だったのでした。


 全員眠たかったものの、羽田空港に向かい、帰りの飛行機に乗りました。


「楽しかったな。これが俺たちの『青春』だな。」



 夏休みが終わり、神林が話しかけてきました。


「見てこれ!新潟に花火見に行ってきたんだ!めっちゃ綺麗だろ。」


 と自慢げに写真を見せてきました。まさか同じ花火を見ていたなんて思ってもいないでしょう。


 そして4人は心の中で、


「あとお前告白されてただろ!!!」


 と叫んでいました。

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