第5話-2人の花火の行方

 夏休みも中盤に差し掛かった頃、神林のTwitterにあるツイートが目に入りました。


「来週新潟に行きます。楽しみ〜」


 とのツイートが。「あーそうなんや」程度に思っていましたが、その次にミルチーにこんなツイートが。


「今度友達と花火見に行く!新潟まで見に行くんだけど日本で代表的な花火大会だから楽しみだな〜」


 流石に唖然としました。神林とミルチーは花火大会で会う予定だったのです。しかも女子と男子が2人きりで花火大会なんて恋の予感しかしないでしょう。


 すると1人トンデモ案が出ました。


「こっそりあいつらについて行かね?」


 おそらく冗談半分で言ったのでしょう。しかしこのグループの行動力はすごいものがありました。


「行こう!多分来週だったら暇だわ!それに、神林の青春を見るのが俺らの青春だと思うんや。」


 言ってることはむちゃくちゃだと思います。しかしその思想に自分はとても感動しました。幸い、自分も来週は暇だったので行くことにしました。金銭面はかなり痛手となりましたが。


 メンバーは白木、自分、小町、松川の4人で行くことになりました。


 そして出発の当日、朝8時の飛行機に乗りました。流石に飛行機は違うようで一安心でした。


「まさか神林に彼女がいたとはな」


「そうだな。でもな、現実で彼女が出来るよりネットで彼女できる方がロマンがあると思うんや。もちろん面と向き合って付き合うのも楽しいと思うけど顔が分からないからこそ味わえるロマンもあると思う。神林もミルチーもどんな容姿なのか楽しみなんじゃないかな?まぁ、俺らもミルチーの姿見るのは楽しみだけどな。」


「ミルチーかなり可愛いって噂だぞ。」


「…まじ?」


 白木が嫉妬気味で言いました。


 そして羽田空港に着きました。「せっかく東京に来たんだから観光しようぜ」という案で少しの間観光することにしました。


 そこであるポスターを見かけます。


『信濃川花火大会19:00〜日本の絶景をここに』


 ポスターの背景を見る限り、とても綺麗で大きな花火大会だということがわかりました。


「告白するにはもってこいだな。」


 自分はそう口にしましたが、みんな思っていることは同じだったと思います。


 その後、12時に東京を出て新潟に向かい、15時に泊まる予定のホテルに行き、会場の下見をし、神林とミルチーが来る場所を予想したところ、告白にもってこいの場所は2箇所に絞られました。


「どうやって探すよ?」


「全員で行動は危険だから、2人1組で探索するぞ。」


 ペアは白木と自分、松川と小町で行動することになりました。


 ホテルに戻り、連絡手段やどうやって告白の応答を聞き取るかを会議していたらもう18:00でした。4人は信濃川の会場に向かい、二手に分かれて行動しました。



 そこで小町が口にします。

「人多いな。これ本当に見つけれるのか?」


「絶対見つかる。俺はそう信じてる。白木たちも必死に探してんだ。俺らも頑張って探すぞ。」


 松川は普段から超がつくほどポジティブ思考です。しかし小町はこういう時のくじ運はなく、見つけられるか不安に思っていました。



 一方自分と白木は、橋の方を探索していました。そして橋の方は比較的人が少なかったのです。その時、白木が話し始めます。


「よく見ておけよ。俺はもし告白するとしたら橋の上だからな。」


「人少ないから橋の上に来ていたらワンチャン見つけれるなこれ。」


「だけどその反面バレる可能性が高くなる。気をつけろよ。」


「一応マスクはつけてるし、俺らが新潟に来てるなんて思ってもいないだろ」


「それもそうだな」


 そんな会話をしていると時刻は18:55になっていました。夜空は北海道では絶対に見られないであろうきれいな星空が広がっていました。


 しかし、いくら探しても神林は見当たりません。


 しかしその時、白木と自分が探している橋の上に1組のカップルが目に入りました。見慣れた背中と、浴衣姿の女子が。


「お、おい、あれ神林じゃないか!?」


「ほ、ほんとだ…急いで電話!」


 俺は急いで松川達に電話しました。


「見つけたぞ。橋のど真ん中だ」


「まじで!?」


 松川と小町は声を合わせて走って橋の真ん中に行きました。そこには確かに神林とミルチーであろう女子がたっていました。自分達は申し訳程度の変装をし、神林の横に立ちました。そして耳を澄ませ、会話を聞きます。そして19:00、花火が上がり始めました。


「すごい綺麗だね!神レン君!」


「あぁ。ミルチーと見に来れるなんて思ってなかったよ。」


 この会話を聞いて神林だった事に間違いありませんでした。神林とミルチーの会話を聞いてる時、ついに自分らが望んだ光景が、


「あのさ____」



 一方その頃、小湊は北海道石狩川付近で行われる花火大会に行きました。小湊は河川敷で見ることにしました。すると1人の男子が小湊に声をかけました。


「あ、小湊ちゃんじゃん。」


「え、黒羽根先輩。来てたんですね。」


 そこには小湊と1番仲のいい先輩がいました。しかし、小湊は暗い表情を隠しきれていなかったのか、黒羽根先輩が声をかけます。


「どうしたの?なんか表情暗いよ?」


 ここで、星が光る夜空に花火が上がります。


「実は私、失恋してしまってこれからどうしようかなって思ってこの花火大会に来たんです。」


「そっか、辛かったね。」


「あの先輩、もし良かったらなんですけど____」



 まさに奇跡、場所は違えど完全に同時刻の告白でした


「もう1回付き合わない?」

「私と付き合ってください!」


 2人の恋の行方はどうなったのか。まず、小湊の告白の結果から見ていきましょう。

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