第49話 デートと麻雀

 苺がずっと前から気になっているという、お店へ向かった。

 そこは古のファーストフード店らしく、かなり昔からある人気店なのだとか。


 かなり歩いてようやく到着。


「ここね」

「へえ、なんか古臭いな」

「昔からあるからねー」



 少しボロいけど、でも活気があった。

 俺たちと同じような学生カップルがソフトクリームを購入。美味しそうに味わっていた。ほ~、ここそんなに美味いんだな。



「チョコソフトがおすすめなんだな」

「うん、すっごく美味しいの!」

「じゃあ、おごるよ」

「やったー!」



 俺は、お店のおっちゃんにソフトクリームを二つ分頼んだ。180円を支払って待つ。

 少し待つと出てきた。

 受け取って、苺に渡した。


「ほれ」

「ありがと、里樹くん」


 笑顔を向けられ、悪い気はしなかった。

 さて、肝心の味はどんなものか。


 ぺろっと舐めてみると――濃厚なチョコが広がった。……うまっ。なんだこれ。ベルギーチョコレートみたいな濃さだぞ。

 ドロドロがイイ感じ。



「こりゃ美味い!」

「でしょー!!」

「ああ、半信半疑だったけど、これはビックリした」

「美味しいよね!」



 こりゃ並ぶわけだ。

 美味しいソフトクリームを味わったところで、俺と苺は再び歩きだした。


 その後、ゲーセンへ寄ったり、カラオケをしたり……充実した日を送れた。こんなにも苺とのデートが楽しいとは。


 最高だ。本当に最高だ。


 でも、やっぱり最後はあそこへ向かう。



「なんだかんだ、ここだな」

「やっぱり、ここなんだね」



 足を止め、その建物を見上げる。

 もちろん、そこは『雀荘』だ。


 やっぱりここが落ち着くのだ。


 階段を上がって二階へ。


 苺がカギを開けてくれた。



「「ただいま」」



 一緒になって、ただいまを言って中へ。

 直後、スマホが振動した。

 なんだろうと画面を見てみると、リベリオンさんだった。



 リベリオン:今から行くねー

 前川:了解



 どうやら、リベリオンさんも来る気らしい。

 まあいいだろう。

 ここはリベリオンさんと陽菜のたまり場でもあるのだから。



 しばらくして、リベリオンさんとついでに陽菜もやってきた。どうやら、途中で会ったようだな。



「お邪魔するよー」

「こんにちは~、苺お姉ちゃん。あとお兄ちゃん!」



 リベリオンさんは淡々と。

 陽菜は相変わらず元気いっぱいだ。


 どこからそんな元気が沸いて出てくるんだろうなぁ。



 二人を奥まで案内し、さっそく麻雀卓の席へ座ってもらった。



「待っていたよ、リベリオンさん。陽菜」

「お、前川くん。今日はやる気だね~?」

「その通りだよ、リベリオンさん。俺たち、あんまり麻雀をやってこなかった。今日こそ、勝負しようぜ」


「いいね、脱衣麻雀かな」


「だから、小学生の前でそれはダメだって!」

「冗談冗談」



 本当かよっ!

 陽菜もちょっと最近は、脱衣麻雀に興味を持ち始めているから、俺は固く禁じた。むしろ、その単語を禁忌のものとした。


 親にバレたら俺が殺されるってーの!



 ついに麻雀をはじめる俺たち。



 俺はまだ初心だから役とかさっぱりだが、スマホでなんとなくチェックしながらプレイだ。



 そんな張り詰めた空気の中、リベリオンさんが声を上げた。



「アメリカンチートイツ」



「な、なんだって!? って、ローカル役じゃねぇか!」

「日本の麻雀ルールでは認められていないらしいぞ!」

「ちぇ、バレたか」



 さすがの俺もそれは調べたぞ。

 苺もそれは認めなかった。

 我が雀荘では苺が絶対だ。



「じゃあ、わたしは大車輪!」

「って、それもローカル!」



 俺は思わず突っ込む。

 苺までノリノリじゃないか――!

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