第48話 寝取られたかもしれない
教室を飛び出して、俺は苺を探す。
どこにいる……どこへ行ってしまったんだ?
各階を走り回るが、姿が見当たらない。
さっさと合流してデートするんだ……!
いやまて、冷静になれ俺よ。
こんな時、スマホを使えばいいんだよ。
ポケットからスマホを取り出し、俺は電話した。
繋がれ……繋がってくれ!
『――ガッチャ』
き、切られた……!? なぜ!?
いったい、なにが起きて……いやまさか、誰かに襲われたとかじゃないだろうな!
けど、もう命を狙ってくる輩がいるとは思えない。
馬淵も名護ももういない。
脅威はいないはずだ。
だから違うんだ。
でも……でも、なぜこんなに不安なんだ!
最後に、三年の空き教室に到着。
あれ……ここって……。
以前、山田さんが……。いや、まさかな。この中に苺がいるわけないじゃないか。
ゆっくりと扉に近づいていく。
なにが音がして、俺はドキッとした
『――そ、そこは……』
『いいだろ、苺。このまま生で……』
『でも、今日は……危険日だから……』
『大丈夫、責任は俺が取るからさ』
『う、うん……』
こ、この声は……苺?
てか、知らん男が苺の名を口にしていた。
ま、まさか!!
そんな馬鹿なことがあってたまるか!!
ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなあああああああああああああああ!!!
この中にいるのは苺なわけがないんだ!!
ありえない!
絶対にありえない!
そうだろう、苺。
扉を開けようとすると――中では始まってしまっていた。
『……いくぞ』
『優しくしてね……』
『ああ……』
パンパンパンと音が響く。
そんな馬鹿な……。
苺……俺を捨てたのか……。
くそ、くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!
頭が真っ白になった。
くそが、くそが、くそがああああああああ!!
俺はもう学校にいたくなくなった。
昇降口まで全力疾走し、俺は校門へ。
もういい!
俺は……俺は…………ん?
「あ、里樹く~ん。よかった、合流できて」
「え……苺」
「ん? どうしたの? なんか泣いてる?」
目の前に苺がいた。
俺は思わず、彼女の顔をぺたぺた触り確認した。
……間違いない、本人だ。
「……っ」
「どうしたの? わたしの顔になにかついてる?」
「苺ぉぉぉぉ!!」
苺を抱きしめ、俺は泣いた。
よかった、さっきのは“他人”だったんだ……!
俺の勘違いだ!!
「え? え? えぇ~~~!?」
ぎゅっと苺を抱きしめ、俺は好きを連呼した。おかしくなるくらいに。
「好きだ、苺。好き、好き、好き!!」
「う、うん。わたしも里樹くんが好き。でも、どうしたの~?」
「実は……池澤さんを突破してから、苺を探していたんだ。でも、電話もつながらなくて……」
「あ、ごめん。わたしスマホは電池切れ」
「それでかよ!」
「でさ、三年の教室で誰かシていてさ。相手の女子が苺って名前だったんだ」
「あ~、わたしと同じ名前の女子が先輩でいるよね」
「いるのかよ!」
ま、まぎらわしいな……。
扉越しで聞いたから、ちょっと曖昧だったけど……他人だったか。
よかったあああああああああああああああ!!
安心したら、俺はまた泣けてきて……涙が止まらなかった。
「ちょっと、里樹くん泣きすぎ~」
「本当にごめん」
「いいよいいよ。それより、デートしよっ」
「もちろんだ! 好きなところに連れていく。おごるよ」
「わぁ、やった。じゃあ、まずは美味しいもの食べにいこうよ」
「賛成だ!」
ようやく二人きりに慣れた。
あとは青春を謳歌するだけ。さあ、街へ繰り出すぞ……!
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