第25話 新たなる戦いの幕開け! 反逆者たちの決起
時は流れて、休み明け。
あれから進展はなく、山田さんとか闇カジノだとかの動きは見られない。
平和ならそれでいいけど、不穏な感じもある。
いつ狙われるか分からないし、恐怖もある。
尾道さんも協力してくれて、今は情報収集にあたっているようだ。
そんな中で俺と伊井野さんは学校へ向かう。
「教室についたね」
「そうだな、伊井野さん。……えっと、山田さんは」
いなかった。
というか、机と椅子がなくなっていた。
あれ……どうなっているんだ?
ぼうっと立ち尽くしていると背後から武藤先生がやってきた。怪訝な表情で。
「前川、山田なら退学したぞ」
「え……退学ですか!?」
「今朝申し出があってな。直ぐにとのことだった」
「そ、そうですか……」
突然すぎてビックリだ。
そもそも、そんなに早く辞められるものなのか?
まあいい、これで少なくとも学校で事件が起きることはなくなったのだから。
「ねえ、前川くん。山田さん、大丈夫かな」
「仕方ないさ。ここ最近、ずっと事件ばかり起こしていたし……でも、自ら辞めるなんてね」
「なんか嫌な予感がするね……」
「きっと大丈夫さ」
クラスには協力関係の尾道さんもいるし、リベリオンさんもいつでも頼ってくれと言ってくれていた。
もちろん俺も全力で伊井野さんを守る。
その為にも鍛えないとな。
とりあえず、授業を受けていく。
時間が流れ――昼休みになった。
当然、クラスメイトは山田さんのことで話題沸騰中。
「ねえ、山田さんってどうなったの?」「退学だろ」「え~、アレ本当なの!?」「マジかよ……」「でもなんで突然……」「ありえなくね~」「そういえば、前川と付き合っていたんだっけ」「アイツ、怪しいよな」「なんかやったんじゃねえの」「だとしたらヤバくなーい」「最近、トラブル多いって話だ」「事件多いよね」
なんか俺に視線が向けられている。
居心地悪……。
困っていると伊井野さんが俺の手を握ってきた。
「前川くん、一緒にお昼を食べよ」
「伊井野さん……ありがとう」
そうだ。俺には味方がいる。
もう、ぼっちじゃない。
気にせず教室を出ていく。
人気のない屋上へ向かう。
到着すると、やっぱり人はいなかった。
「ここなら落ち着けるね、前川くん」
「そうだね、ゆっくりできるよ」
伊井野さんが俺の手を引っ張ってくれる。柵まで向かって、そこで腰を下ろす。
静かな時間が流れる。
白い雲もどこかへ流れていく。
そよ風が頬を撫でる。
ずっとこうしていたい。
ぼうっとしていると伊井野さんが隣に密着してきた。
「……伊井野さん」
「ずっと一緒にいようね」
「それ、嬉しいな。俺も伊井野さんと一緒がいい」
「うん」
俺の気持ちはもう決まっている。
でも、なかなか言い出すタイミングがなかった。
今こそこの想いを伝えるべきだ。
思い切って告白しようと思ったら、屋上の扉が開いた。
バンッという激しい音が響く。
誰だ!?
「おっと、ごめんよ」
ウチの学校の制服に身を包む……この人は――って!!
「「リベリオンさん!?」」
俺も伊井野さんも驚いて名前を叫んだ。
なんでいるんだよ!!
「どうして?」
「良い質問だね、前川くん。あ、お邪魔して悪いね」
「いや……驚いたよ。リベリオンさんって、ウチの学校の生徒だっけ……?」
「忘れたのかい。この前、同じ学校って言ったはずだよ」
「あ……」
そういえば、そんなことを言っていたな。事件が多すぎてすっかり忘れていたよ。というか、先輩なんだよな。
リベリオンさんは、いつものパーカー姿が似合い過ぎているから制服姿は新鮮すぎるな。
それにしても、校則違反な髪色と耳ピアス。ネイルも派手で凄まじいな。
「驚かせてすまないね。それより、話しがある」
「話って、まさか闇カジノの?」
「うん、それもある。けどね、前川くん……もっと大変だ」
「え……どういうことです?」
「ウチの弟が重症を負ってね。闇討ちにあったんだ」
「「や、闇討ち!?」」
俺も伊井野さんも同時に驚いた。
なんだよ、闇討ちって。
「そうなんだ。おそらく馬淵の仲間の仕業だと思う。背後から奇襲だったから、さすがの弟も対処できなかったみたいだ」
悲しそうで悔しそうな表情でリベリオンさんは、言った。
また馬淵か……!
本当にしつこいヤツだ。
でも、その仲間か。
本人は刑務所のはず……。
残党をなんとかしないと!
「白竜會はどうなっているんだ?」
「総長が倒れた以上、しばらく動けないね。けど、自分が動ける」
「リベリオンさんが代わりに?」
「そんなところだね。馬淵の仲間をぶっ潰す」
メラメラと燃えるリベリオンさん。復讐をこの場で誓った。
そうだな、俺も一緒に戦う。
でなければ、また馬淵が出てきてしまう。
それに、彼等は俺を恨んでいるはず。
先に芽を摘んでおかねば。
そう決心していると、リベリオンさんも俺の隣に座ってきた。
「……えっと」
「自分も混ぜて欲しい」
まるで伊井野さんに対抗するかのように、リベリオンさんは微笑む。大胆にも、俺の手を握ってきた。
「ちょ、リベリオンさん! 前川くんの手を握らないでよ!」
「苺ちゃん。悪いけど、これも戦いだよ」
「なッ!」
いったい、なにが始まるんです?
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