第23話 ギャルと協力関係に。闇カジノ『アーリークラウド』の謎
リベリオンさんの派遣してきた、同じクラスのギャルを雀荘に招き入れた。
部屋に向かい、伊井野さんに紹介。
「こちら……えっと」
そういえば名前を聞いていなかった。
けれど伊井野さんは直ぐに名前を言った。
「
「どうも、伊井野さん」
さすがに同じクラスなだけあって面識があったか。
俺はぼっちなので、同じクラスの女子なのかさえ分からなかったが。
なるほど、彼女の名前は『尾道』というのか。
納得していると、伊井野さんは会話を続けた。
「力を貸してくれるの?」
「事情はよく分からないけど、裏の世界のことを知りたいんだよね」
「うん。例えばなんだけど、最近流行ってるギャンブルとかあるの?」
「もちろん」
「それ教えて欲しいの!」
「その前になにがあったのか教えて」
それもそうか。
まずはこっちの状況を知って貰わないと。
代わりに俺が今までのことを話した。
山田さんと付き合っていたこと。
寝取られたこと。
津田先輩や馬淵のこと。
数々の事件。
そして、山田さんが捕まらない背景。山田議員の姿を見ていないかなど聞いた。
「どうかな」
「へえ、前川くんってそんなことになっていたんだ」
「なぜかね。まあ、山田さんと付き合い始めたのが運の尽きかな」
「でも、好きだったんでしょ?」
「告白されたんだ。彼女なしの万年ぼっちの俺からしたら断る理由がない」
「確かに」
そんなわけで今は、前の席という縁で伊井野さんに相談に乗ってもらい――俺はこの雀荘にお邪魔するくらいの仲にはなった。
二番目に可愛いと名高い女子である伊井野さんと。
「だから山田さんを止めたいんだ」
「ストーカーみたいに付きまとわれて大変なんだ」
「ああ……さっきも刺されそうになったし」
「そりゃ大変だ。分かった、事情を教えてもらったし、裏世界のことも教えるよ」
ソファに座る尾道さんは、足を組みなおす。
肉付きの良い素晴らしいふとももだ……じゃなくて、ようやく本題か。
「教えてくれ」
「うん。まず、この市内に闇カジノが実在するよ。それは確かだね」
それを耳にして俺も伊井野さんも驚愕した。
「なんだって!?」
「ウソでしょ……本当にあるんだ」
まさか存在したとは。
「その闇カジノって、よくあるニュースみたいにマンションとかアパートの一室にあるのか?」
「いや、そこは
「地下……だって?」
尾道さんによれば、闇カジノの名は『アーリークラウド』という。どうやら、その世界では有名な闇カジノらしい。
本来は見つけられないし、その実態もあるかどうか怪しいという。
だが、尾道さんはその場所を知っているようだ。
「完全招待制でね。しかも、その場所へ行く場合はスマホを取り上げられ、目隠しをされる。車に乗せられ、何時間も走ってようやくたどり着く。だから、どの場所の地下なのか特定できないようになっている」
なるほど、アパートとかマンションでは簡単に特定されるし、警察にも発見される。けれど、そのアーリークラウドは徹底して場所を隠しているわけだ。
スマホを取り上げられるのは、GPSなど位置情報を読み取られないようにする為だろう。そこまで考えているとは。
その闇カジノに、山田議員が通っているとするならば……捕まえられるかも。
けど、今のところ証拠がない。
場所だって不明だからな。
どうしたものか。
「ねえ、尾道さん」
「なにかな、伊井野さん」
「どうしてそんなに詳しいの? 普通、そんなこと知らないと思うけど」
「白竜會にはワルがたくさんいるからね。逮捕されちゃったけど馬淵のヤツを中心に、ヤバい情報は流れてくる」
「そうなんだ」
「馬淵の仲間とかに聞けば、闇カジノの招待も受けられるかもね」
そういえば、馬淵には多くの仲間がいたな。大半は一緒にお縄になったらしいが、数名だけは逮捕されずにいるらしい。
となると、仲間に話を聞いてみるか……。
「大体分かった。ありがとう、尾道さん」
「いいんだよ、前川くん。ていうか、こんなに話せるんだね」
「え?」
「前川くん、いつもぼっちじゃん。ヤバいヤツだと思ってた」
「酷いなぁ~。まあ、ぼっちは事実だけど」
俺自身もまさか、こうして伊井野さんや尾道さんと話せるとは思わなかったけど。そう言う意味では、山田さんのおかげもある。
山田さんと付き合うようになり、俺は女子に対する免疫ができたのだから。
「君のこと、ちょっと面白いって感じた」
「え? どういうこと?」
「だってさ、議員を相手にするわけでしょ? その為に闇カジノに潜入しようと考えているとか凄いよ」
「この雀荘を守りたいんだ。それに、伊井野さんも……」
「へえ、カッコいいね。分かった、あたしも協力してあげるよ」
尾道さんからフレンドリーに手を握ってくる。
素敵な笑顔を向けられ、俺は照れた。
「よ、よろしく……」
自身の顔が熱くなっていると、伊井野さんがもう片方の手を握ってきた。
「わ、わたしも!」
「ど、どうしたのさ、伊井野さん」
「わたしも協力する!」
妙にふくれているような。
って、まさか……嫉妬!?
まさかな。
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