星のおそうしき
空想の物語をはじめて文章にしたのは、ランドセルを背負っていたころ。
我が家にワープロがやってきたことがきっかけだった。パソコンじゃなくてワープロ。フロッピーの時代です。
なにか文字を打ちたくて、それもちゃんと意味のある長文を打ちたくて、思いつくままに書いた物語。
空から落ちてきた星を女の子が拾う。持ち帰って大事にしまっていたら、星の仲間たちが訪ねてきて、こんなことを言う。
「今夜、お葬式をしたいのに星の死体が見つからない。なにか知らないか」
拾った星を返したくなかった女の子は「なにも知らない」と嘘をついて星の仲間たちを追い返す。
その夜、引き出しにしまった星の死体が空に行きたがっていることを知り、星を抱いて夜空に飛ぶ。そのまま星のお葬式に参列する――
というお話。
とにかくキーボードを触っていたくて書いた物語。
保存の仕方を知らなくて、そのまま閉じた。
だけどせっかく書いたものをなにも残さないというのもなんだか嫌で、改めてノートに手書きした。内容を覚えているのはそのせいかもしれない。ノートはもうなくしちゃったけど。
キーボードで文字を打つのが好き。
物語を空想するのも好き。
でも、文字を手書きするのはあんまり好きじゃない。書きたいスピードに手が追いつかないから。字が下手だから。
ワープロとかパソコンとかがない時代だったら、小説を書かない人生を送ったかもしれない。
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