第3話 「バイオレンス サクラちゃん!」
「サクラちゃん!」とカズマは親バカぶりを発揮し抱きしめようとしたが、サクラちゃんはボクシングのファイテング・ポーズで構え、カズマに「※あしたのためのその1、その2。左ジャブ、右ストレート」をストマック(胃袋)に叩き込んだ。
「グシャ、ぐえ〜っ」
「え、なんで、響くんですけど!サクラちゃん!痛いです!」赤ちゃんのポカポカパンチとは似ても似つかない、サトウ・カズマの脳髄に響くパンチである。
カズマは片目に黒眼帯、出っ歯の禿げ頭、顔に手術痕のあるおっさんとなり
「いいパンチじゃねえか。ジョーよ!」と
丹下段平になりきり対応したが、
サクラちゃんの勘に触り
更なる必殺ブローがカズマを襲う!
「ZET(ジェット)」アッパー!超低空の右拳が急上昇!カズマの顎にジャストタイミングでヒットした。
「ビシューッ、ドォーゴン」と凄まじい音を立ててサクラちゃんのブローが炸裂。
吹き飛んだカズマが天井に当たり
その反動で勢いをつけて頭から落下、
更なる必殺ブローが放たれた!
「【ZET(ジェット)ラベンダー】」と
左拳がカズマを捉えて先程のZETアッパーを超える威力を発揮!
「ビヒユーッ、ドガーッ、バキーッ」
空気を切り裂く音と凄まじい威力と共に
必殺ブローが顔面に炸裂!!
「あーっ」「ぎゃーっ」とサトウ・カズマの痛々しい悲鳴が居間に響き渡った。
そして天井には大穴が開き屋根も突き破り外に放り出されたカズマは同じ場所から居間に落下、床に叩きつけられた。
事態の凄まじさに固まっていた、アクア、めぐみん、ウィズ、そして母のダクネスが
「サクラちゃん!大丈夫!」と一斉に心配!
「そこって普通、俺の心配をするところだよね…。」と瀕死のツツコミをカズマが入れた。
だが立っちしたばかりで仁王立ちしていた
サクラちゃんはいきなりダクネスの方に向き直った。
そしてダクネスのそばまでよろけながらも歩み寄ると信じられない行動に出る。
ダクネスの首元にヒラヒラのついたサクラちゃんとお揃いのマタニティードレスを破りすてたのである。
「ビリビリビリビリ!!!」と音を立て
そしてお揃いのピンクのブラも剥ぎ取ると
ダクネスの爆乳が露わになったが、
サクラちゃんの右手で右胸を赤ん坊とは思えない握力で強く握り先っぽから噴水のように母乳が噴出した。
「ばぶ、ゴクゴク」と豪快に飲んだサクラちゃんは噴出が止まった右胸から今度は左胸を
強く握り今度はシャワーの如く大量に噴出させた。
「ゴクゴク、ばぶ」「きゃっきゃっ」と上機嫌だったが、すぐに噴出が止まると
ダクネスを赤ちゃんビンタで左頬をピシャリ。
痛くもない左頬を抑えながらダクネスは
「く、サクラちゃん!不甲斐ない母を許してほしい!」と両手を床につけ胸丸出しで
俯(うつむ)いた。
「いや、普通は噴水みたいに勢いよく出ないだろ。」と我が子可愛さに常識を逸脱している嫁にツッコミを入れるカズマだが、
受けたダメージで薄れゆく意識の中で
サクラちゃんに右手を差し出し
両眼を開け半死人のように意識を失った。
1ヶ月後、カズマ一行はクエストに出ていた。
無論、サクラちゃんも同伴だが基本ダクネスがサクラちゃんを抱っこしている。
「ばぶ、きゃっきゃっ」広い草原に出てご機嫌のサクラちゃんだが、カズマ一行の目的は
繁殖期を迎え活動が活発になったジャイアント・トード(巨大ガエル)の討伐である。
親バカとクズマにふさわしくサクラちゃんと
いう強力な戦力加入によるリベンジである。
駄女神アクアとめぐみんが、「ゴットブロー。とは女神の愛と悲しみを込めた究極の拳」とすっかりサクラちゃんの凄さを目の当たりにした勘違い女神がいっぞやの失敗を忘れて放ったのだが「ボスン」という音とともに犬神家の一族の逆さ死体のように下半身のみ出して飲み込まれた。
次いでめぐみんは少し離れたところで爆裂魔法を炸裂させ数匹始末したものの、
土の中より現れたジャイアント・トードに
アクア同様に逆さ下半身のみ出して飲み込まれた。
「きゃっきゃっ」と2人の無様さが余程面白かったのかサクラちゃんは上機嫌!
「うおーお前ら!」と一応剣を持って2匹の討伐をしようとしたカズマはやはり土の中より
現れたジャイアント・トードにあっさり飲み込まれた。
「あつ。」と
その際ドジなことに剣を落とす痛恨のミスをした。
飲み込まれた際に「サクラちゃん!愛しているよ!」と本当と嘘が入り混じる言葉を発し
「ゴクリ」とアクアたち同様のかたちで飲み込まれた。
その飲み込まれる瞬間を
「きゃっきゃっ」とご機嫌で観ていたサクラちゃんだが、「サクラちゃん愛してるよ!」
発言でまるで不出来な父親で困ったものだ
と言っているような仕草で「ふ〜っ、ばぶ」と首を少し左右に振ってダクネスの抱っこから脱しようとした。
その仕草にダクネスは「サクラちゃんが行く事はないぞ!私が…。」と言いかけた時、
「ばぶ〜っ」「ピシャリ」と小さな手は可愛い赤ちゃんビンタを炸裂させた。
そのあまりの可愛さに抱き締めたい心境もあるダクネスだが、すぐにサクラちゃんの言いたい事を理解し「当たらない攻撃をしても意味がないというんだなサクラちゃん!すまない不甲斐ない母を許してほしい!」と今度は
涙目の本気で謝罪した。
そんな母の様子を「ポン」と肩を叩き励ましたサクラちゃんは魔力を足(あんよ)に集中、
ダクネスの元から一挙にカズマたちを飲み込んだジャイアント・トードに向けて飛翔した。
赤ちゃんらしい「トン」と軽い音とともに
ジャイアント・トードの前に降りたサクラちゃんだったが、やはりカズマたちの格好がおかしかったのか「きゃっきゃっ」と喜び非常に可愛いかった。
あくまでマイペースのサクラちゃんである。
「サクラちゃん。不出来の父親をできるだけ早く助けてもらえればありがたいのですが…。」とカズマが言うと
「ばぶばぶば(赤ちゃん語本釈。いまやるところだったのに。)」とサクラちゃんは
ややご機嫌斜めに。
「ばぶ〜。」と構えたサクラちゃんの魔力と
迫力に他のジャイアント・トードは恐れをなしたが、更に地中より現れた4匹目のジャイアント・トードが今までとは違う泣き声を発声し「ゲコ、ゴワー!」と鳴くと地響きと共に
今までの個体の数倍はある頭に冠を被った
超巨大なジャイアント・トードが
「ズシ、ズドン」と巨大な音と共に現れた。
その個体は更に「ゲコ、ゲコ、ゲコ、グワ〜、グワ〜!」と鼓膜が破れるのではないかとの巨大な鳴き声を発した。
「うわ!何だこの鳴き声は!サクラちゃん!」「サクラちゃん!大丈夫」と
超巨大なジャイアント・トードの鳴き声に
驚かされながらもその渦中にいる我が子と赤ちゃんを心配する心優しい2人のダクネスとウィズだった。
2人の心配は的中して地中より数十匹の
個体が一挙に姿を現した。
おそらくこのキング・ジャイアント・トード
(超巨大なジャイアント・トードの呼称を命名)の支配する群れ全部である。
「サクラちゃん!!」とダクネスとウィズの2人はいきなり増えたジャイアント・トードの群れの中に孤立したサクラちゃんを心配し
ウィズは魔法で援護しょうとするも、
「ばぶばぶばぶ〜!」と小ちゃい親指を可愛く立てながらウィズに大丈夫とサインを送る
サクラちゃんだった。
サクラちゃんは小ちゃい身体に見合わない
美しい自然なファイティング・ポーズを
とった。
ジャイアント・トードの群れがところ狭しと
密集する中、ピンク色の赤ちゃんの弾丸は
まず目の前の醜態をさらすものたちを飲み込む個体の3匹を血祭りに上げる。
「ばぶばぶばぶ!」とサクラちゃんの
必殺ブローが炸裂する!!
「ZET」アッパー!とアクアを飲み込んだ
個体にピンク色の小ちゃいソックスにぼんぼりがついた両足に魔力を集中、地を這う右アッパーは飛び上がるタイミングと同時に急上昇、ジャンピングアッパーのようなかたちで命中、あまりの威力にジャイアント・トードは「ゲボ、ゲコ」とアクアを勢いよく吐き出す。
次いでめぐみんを※「ブーメラン・スクエア」コーク・スクリューパンチを高速回転させ相手にねじ込んであまりの威力にめぐみんを吐き出すとジャイアント・トードは
一回転して吹き飛んでいった。
最後の一発はクズマを救う「ZETラベンダー」とZETアッパーを超える必殺ブローが炸裂し
カズマは派手に吐き出されダクネスたちがいるところまで飛んで戻ってきた。
「サクラちゃん、ナイス。ありがとう。」
不出来な父親が精一杯に愛する娘に送るエールである。
「ばぶばぶばぶ」とやっと足手まといがいなくなったかと安心のサクラちゃんは
サクラちゃんの必殺ブローをくらい大きくてもカエルの足をピクピク痙攣させ虫の息の3匹は無視して、キング・ジャイアント・トードとその群れに向けて赤ちゃんステップで
「ばぶばぶばぶ」とトコトコ前進し始めた。
その前進にいつしか※デンプシーロールといわれるボクシングの高等ディフェンスが加わり8の字を作り前進しながらダイナミックな打撃が加わり始めた。
1匹のジャイアント・トードには
サクラちゃんの※デンプシーロールからの
複数打撃が加えられ原形のわからない程になり絶命、2匹目は左右の「ガゼルパンチ」で
交互に殴りつけ絶命した。
「小僧、休むな頭を振りながら前進しろ!」
とカズマ得意?の※鴨川ボクシングジム会長のチョビ頭髪に鴨川のTシャツを着て
鴨川会長自身になりきりサクラちゃんに
指示?をあたへ、今度はサクラちゃんが
ジャイアント.トードが舌を使ってサクラちゃんを捕まえようとすれば、ボクシングの技術ヘッドスリップで上手く避けながらクロス、
ダブルクロス、トリプルクロス、を打ち込めば、カズマは眼に黒の眼帯、出っ歯に禿頭、
顔に手術痕、の丹下段平スタイルになり、
「そうだジョーよ!もっと踏み込め、
ワンツーだ!テンプルに思いっきりぶち込め!そうだクロスをだ!ダブルクロス!トリプルクロスをよ!ジョーよ!真っ白に!
真っ白に燃え尽きるまで戦え!ジョー!!」
個体(ジャイアント・トード)が舌を出すタイミングでサクラちゃんはパワーリングで逸らしたり、スリッピング、ダッキング、スェーバック、などの高等テクニックを駆使し、
「ばぶ〜!」と次々と小さい体を飛翔させながら突進力も利用して、クロス(4倍)、ダブルクロス(8倍)、トリプルクロス(12倍)、が
「ゲコ、グエ〜!グギャ〜!」と次々に叩き込まれ個体たちは虫の息である。
そんな部下たちの不甲斐なさにキング・ジャイアント・トードは
「ゲコゲコゲコゲ〜コ!」と叱咤するように
鳴いたが最後の1匹もZETアッパーに倒させれ
遂にサクラちゃんとキング・ジャイアント・トードとのタイマン勝負となった。
周りはジャイアント・トードの群生地かと思うほどに屍の山が築かれていた。
「ゲコゲコゲコ、ゲ〜、ゲ〜、ゲ〜コ、ゲ〜!ゲ〜!(翻訳!よくぞ我が部下どもを倒したな。その豪胆さ賞賛に値する!
だが私には通用せん!)」とキング・ジャイアント・トードはあからさまにサクラちゃんを大きな鳴き声で挑発した。
対してサクラちゃんは畏怖堂々とその場に
仁王立ち、小さいながらもどちらが王であるかわからないぐらいだ。
堂々すぎて「ププ〜!」とサクラちゃんがオナラをした。
一応サクラちゃんは赤ちゃんながら少し顔を赤らめ恥ずかしんだが、周りのカズマとダクネスなどの一行はそのキュートさに目をキラキラさせメロメロな馬鹿な大人の集団だった。
それとは関係なく死闘は開始される。
「ゲコゲコ、シャーッ」「ドコン、ドスン、ドスン」
キングの巨大な舌や大きな体を利用した振動、ジャンプ、などを使用して優位に
進め赤ん坊のサクラちゃんは体重が軽いことから足場を思うように設置できなかった。
重心はぶれ、「とっとこ、とっとこ」と
あちこちと移動させられながら何とか
転ばないようにするサクラちゃん。
その間もキングの猛攻は「ゲコ、シャーッ、ドコン、ドコン、ドコ」と舌とジャンプによる振動の波状攻撃がサクラちゃんを襲う。
そんな中、サクラちゃんの碧眼の瞳が輝きを増し「ばぶばぶばぶばー!(翻訳、輝け私のニュースーパーブロー!)」「※ギャラクティカ・マグナム!!!」
完全に動きの止まったキング・ジャイアント・トードへ向けて奇跡の左必殺ブロー!「ばーぶ、ばーぶ、ばあ!(翻訳、響け私の奇跡の左!!)※ブーメラン・テリオス!!!」を放ったのだ。
流石のキング・ジャイアント・トードも
耐えきれず
「ズシーン!」と巨体が倒壊する音だけを残してひっくり返り気絶した。
その様をちょっと離れたところでみていた
カズマ一行。
「ありがとう。サクラちゃん」
「流石、私の部下2号!」
「サクラちゃん!強くても!可愛い!」
「流石、サクラちゃん!我が最高の娘!
お母さんは嬉しいぞ!」
アクア、めぐみん、ウィズ、ダクネス、が
それぞれ言うとサクラちゃんの活躍に
「万歳!万歳!万歳!」と浮かれていた。
それをちょっとだけ冷静に見ていた
サトウ・カズマは、
「復讐の時、来たる!」
「ガチョーン」のかたちで両手を上に向けながら
「ははははははははは!」といっまでも
高笑いを続けていた。
何やらよくないことを企んでいるようですね。
次回へ続く 第4話「バイオレンス サクラちゃん2」に続く
※①名作「リングにかけろ」の主人公
高嶺竜児がジュニアボクシングの世界大会
でみせた最初の奇跡のニュースーパーブロー!
※②③名作「はじめの一歩」で主人公 一歩の必殺技。
実際に存在した技で19世紀後半に
ジャック・デンプシーというヘビー級ボクサーが開発した技。
※④「リングにかけろ」で主人公の永遠のライバルにして親友、黄金の日本ジュニアの
メンバーでスーパースターと言われる
「剣崎順」のニュースーパーブロー。
発電所に立て篭もり編み出した狂気の必殺ブローである。
マグナムと言われるだけあって標的を外した時やうち終わりの後に硝煙の匂いがする。
ただしサクラちゃんは魔力を凝縮して放っているので似て非なるものです。
※⑤「リングにかけろ」で主人公
「高嶺竜児」がギリシャ12神との決戦の為に
編み出したスクエアに次ぐ奇跡のニュースーパーブローが「ブーメラン・テリオス」である。
車田先生、度々すみません。
この素晴らしい世界に祝福を!【この素晴らしい赤ちゃんに祝福を】 三崎和哉 @kazunori615
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