11月16日 夢日記『蝶になって』
11月16日 夢日記『蝶になって』
……気がつけば俺は、蝶になっていた。
暖かく、穏やかな日差しが差す春の日、美しい花を探し、羽を羽ばたかせる。
風は無く、穏やかな空の下、自由に、誰にも縛られる事なく、俺は羽を羽ばたかせる。
遠くには淡い赤に色付いた、つつじが見えて来る。蜜の香りに誘われ、つつじを目指し、羽を羽ばたかせる。
つつじの花びらを借り、羽を休ませ、甘い蜜を吸う。花粉が体にまとわせ、また羽を羽ばたかせる。
暖かく穏やかな空、美しい花々、甘い蜜、俺は蝶になった喜びに溢れていた……
燃える太陽が照りつける、眩しい日差しの夏の日、夏の熱い風を受け、羽を羽ばたかせる。
深い緑に木々は色づき、命は限り無く輝く。木々を通り抜け、俺は羽を羽ばたかせる。
遠くに見える向日葵を目指し、自由に、誰にも邪魔をされる事無く、羽を羽ばたかせる。
太陽の光は、羽を美しく照らし、羽に反射した光がどこまでも輝いている。向日葵の茎で羽を休ませ、また羽を羽ばたかせる。
俺は蝶だ……茎で羽休ませている間に、夢を見ていた気がする……とても悲しい夢だった……
木々は枯れ、寒い風が吹く、秋の日。もう俺を休ませてくれる花は無い……
木枯らしは羽を傷つける、それでも羽を羽ばたかせた。
雪が降り積もる冬の日、俺の体は降り積もる雪の上。
もう羽を、羽ばたかせる力は無い……それでも、俺に後悔は無い……
移り変わる四季の中、自由に羽を羽ばたかせたのだ……俺の上に雪は更に積もる。
蝶になった俺は瞳を閉じた……何か夢でも見ているようだ……俺は蝶になった。
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