第2話 クライマックス戦闘第1ラウンド

 戦闘開始の合図があったものの、フィール・ライトは対応に悩んでいた。


 「敵が散らばりすぎていて、今の状態じゃ殲滅が上手く行かなさそう」

 「ならば待機なさい。敵が接近してきたら、動けばいいわ」


 エフェメラには戦術指揮のスキルがある。ベテランの彼女はチームの中枢だ、と彼女は認識した。


 「移動は放棄。シゲミちゃん、あなたの攻撃と同時にアタックアシストを行うわ」

 「了解~」


 エフェメラの注目はシゲミに移る。


 「私は待機。敵の行動を窺う」


 敵との距離は離れている。

 武装の射程内に敵が入ってきてから、範囲攻撃でまとめて倒す算段である。


 「ん、レーダーに反応。あれは…?」


 戦場に1つの飛行物体が飛来してきたことを、レイティアは認識した。


 「ヴァライフ・ザード。私の戦友よ」


 ヴォルフ共和国の量産機、ミーレス・ザード。そしてそれを空輸するサブフライトユニット、ヴァライフ。その2機が合わさったヴァライフ・ザードが、フィール達の上空に現れた。


 「援護は任せろ」

 「やっ、新しい敵!落としてみせましょう!」


 ライドフォーンが全力で移動し、4-Eに進出する。


 「そんじゃ私も全力移動。4-Eに」


 シゲミのソラナキがライドフォーンとエンゲージする。

 

 「ホバータンク、4-Iに移動しろ」

 「了解」


 次に行動したのは、どっしりとした外観のディザスター級ガーディアンであった。レイティアが中古市場で購入した、ホバー駆動の砲撃機体。ノーブルファー社では「ホバータンク」と呼ばれていた。


 「ソラナキを射程に収めました」

 「ライドフォーンを囮にして、ホバータンクの火力で殲滅する。それが私の作戦だ」




 「お、丁度いいところに敵が進出してきたわ」


 日向ソウイチはライドフォーンの突出を見逃さなかった。


 「アサルトチャージを使用。全力移動で4-Eに」

 「来ましたね。だがしかし、カテドラルの力の前には全てが無力…!」

 「大見え切りおるわ、だがよーわからんさはこちらも負けとらんぜ!」


 特試荷粒子槍と光波衝角突撃を組み合わせたツインアームズで、アインヘリアル・アスピドケロンはライドフォーンに襲い掛かる。


 「真理の領域から得られる力を使っても、回避ができない!?」

 「銛漁で鍛え上げた槍捌き見せたるぜェ!」


 シールドで殴りかかり、怯んだところで本命の一刺しがライドフォーンを穿つ。


 「うぎゃー!やられたー」


 突出したライドフォーンは銛の餌食になったのであった。

 



 進出したアスピドケロンとソラナキに対し、多数のミサイルが飛来する。

 それを放ったのは、3機で1個小隊の飛行ドローンであった。


 「ボットフロウン。弊社製の飛行型自律兵器だ」

 「くっ、インターセプト!」


 エフェメラの戦闘支援ヘリが、チェーンガンで一部のミサイルを迎撃する。


 「回避間に合わない!」

 「ふん、輝く巨人の効果、見せたるわ」


 ミサイルは2機に命中。アスピドケロンはバリアの効果で無傷であったが、ソラナキは少し損傷した。


 「くっ、やってくれるなあ」

 「かっかっかっ!そないなミサイルじゃワシは止められんぞォ!」


 別方向からもボットフロウン小隊が現れ、ミサイルを放つ。


 「くっ、回避判定でファンブルした!」

 「リトライ使うで!」

 「もう一度…またファンブル!」

 「ブロウビート!」


 ソウイチとエフェメラの補助で、シゲミはファンブルを回避する。が、ミサイルは命中コースに入る。


 「カバーアシスト!」


 アスピドケロンがソラナキをかばい、ダメージを無効化する。


 「守ることには慣れてんだ、悪いがそれも通さんぜ」

 「アインヘリアル級ガーディアン…なんて硬さだ」


 続いてミサイルを放ったのは、ノーブルファー社製の二足歩行型自律兵器、ボットミゾットであった。ミサイル発射装置から二本の足が生えたような外観をした、安価なミサイルキャリアーである。


 「包囲殲滅だ!ミサイルの雨を食らうがいい」


 再びミサイルがソラナキとアスピドケロンを襲う。が、これは両機とも回避に成功する。


 「おっとっとぉ!これくらいなら障壁を使うまでもないのぉ!」

 「よけられた」


 その後、ヴァライフ・ザードが3-Dに戦闘移動。

 そして待機していたフィール・ライトが行動する。


 「イニシアチブ、Sユニット換装、リアクターユニットへ」


 シャレード・ロゼのSユニットが換装される。


 「マイナーで即時換装。ゼニスアームユニット」


 今度は蜘蛛状のユニットへと切り替わる。


 「ギュゲスビームキャノンを6-E起点、範囲4で使用」


 背部のサブアームユニットから、8本のビーム砲が放たれる。それらは射程に収められたボットフロウン4個小隊とボットミゾット2個小隊を、瞬く間に殲滅する。


 「おそるべし、ティプトリーの技術力…」


 これでレイティア側に残された戦力は、ボットフロウン1個小隊、ボットミゾット3個小隊、ディザスター級ホバータンク1機、となった。


 クリンナップ前のイニシアチブプロセスでヴァライフザードがアスピドケロンに声援を使用してHPを回復し、1ラウンド目が終了する。

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