第2話

「相坂ならすぐいけそう。」


真帆がクスッと笑う。


「ちょいちょい失礼だよね、真帆。」


「だって好きになってだいぶんたつじゃん。いつまで眺めてるだけなのよ、乙女か(笑)」


「…うるさいなぁ…」


好きになったのは高1の秋の体育祭。


あれからもう1年経つ。


「まさに落ちたのよ。」


お弁当の唐揚げを口に放り込みながら思い出す。


みんなちょっと手を抜きながら、半笑いしながらバスケをやる中で、彼は…


彼だけは本当に楽しみながら、


「マジでやろうぜ!どーせやるならさ!」


なんて言いながら、長ーい脚を滑るように走らせながら。


汗をキラキラさせながら。


この人なんでこんなに一生懸命なの、たかが体育祭なのにって。


ドカンと私の中で何かが落ちる音がした。


「かわいい…」


思わずボソッと口にする。

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