第8話
ジュンセside
そして、チビが来て2週間が過ぎた頃、事件は突然起きた。
仕事が終わり、エレベーターを降りていつものように帰ってきた合図としてチアの家のインターホンを押せば、中から号泣しているチビが飛び出してきて俺に飛びついた。
「とうちゃぁぁぁあぁぁあん…泣」
J「チビどうした?ちゃあちゃんは?」
「わかんないよ…こわいひとが…ちゃあちゃんイジメてるの…とうちゃんたすけて……」
J「え?」
慌ててチビを抱きかかえ中に入ると、黒スーツを着た身体のデカい男たちがチアの腕を掴み家中を荒らしていた。
J「な…なにやってんだよ…」
思わず出てしまった声に男たちは振り返り俺を睨む。
C「ジュンセ!チビちゃんを連れて早く逃げて!」
よく見ればチアも殴られたのか、顔や身体にアザができていた。
「面倒なことしやがって……。」
そう言って1人の男が俺に近づいてくる。
C「ジュンセ早く!!」
J「でも…!!」
C「チビちゃんを守るのが先でしょ!!」
腕の中にいるチビは俺の首にしがみ付き、ガタガタと震え泣いている。
俺は走って部屋を出ると後ろから男が付いてくるのが分かった。
廊下を出て震える手で暗証番号を押し、泣きじゃくるチビを1人、俺の家に押し込んだ。
「やだぁァァアァァァア!!」
J「そこまで待ってろ!!絶対に扉を開けるな!!」
俺が強引に扉を閉めると同時に男はチアの家から出てきた。
J「なにが目的でチアを……?」
「目的?目的なんてないよ。ただソウヤさんが……」
C「余計なこと言わないで!!彼には関係ないでしょ!」
チアがそう言うと男たちは俺に舌打ちをして苛つきながらエレベーターに乗って消えていった。
すると、チアはスルスルとその場に力なくしゃがみ込んだ。
J「チア…大丈夫かよ…どう言うことだよ…あいつらソウヤさんの知り合い?一体なにがあったんだよ…」
C「ジュンセには…関係ないから。私は大丈夫だからチビちゃんの所に行ってあげて…」
J「なに言ってんですか…チアも一緒に…!」
C「こんな顔…チビちゃんには見せれないから……」
チアはそう言って涙を一筋零した。
J「……分かった。チビが落ち着いたらあとで来るから部屋で待っててください…」
俺がそういうとチアは震えながら頷き、俺は慌ててチビの元に戻った。
暗証番号を押し、扉を開けると同時に泣きじゃくりながら俺に飛びつくチビを抱き上げ、部屋の中に入って行くとチビは上ずる声でずっと「ちゃあちゃん…ちゃあちゃん…」とチアのことを呼び続けていた。
俺はそんな小さな背中をポンポンと撫でながらソファに腰掛ける。
J「もう怖い人たち帰ったから大丈夫…ちゃあちゃんも大丈夫だから…な?」
俺がそういうとチビは顔を上げて小さな手で涙をゴシゴシと拭う。
俺は爪で顔が傷つないようにチビのその手を止め、優しく袖口でチビの涙を拭ってやった。
しばらくするとチビの涙もおさまり落ち着きを取り戻した頃、俺はチビに問いかけた。
J「チビ…父ちゃんがいない間…何があったんだ?」
俺がそう問いかけるとチビは俺のシャツをギュッと掴みガタガタと震えだす。
そんなチビをみて俺は小さなため息を落としまた、落ち着かせるように背中をポンポンと叩いてやるとチビは小さな声で話しはじめた。
つづく
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