第6話
ジュンセside
「これとこれとこれ〜!!」
チビはチアに甘えるようにそう言って戯けている。
C「えへへ〜そんなに食べられる?」
「食べる〜〜!!」
C「ジュンセ?キッチン借りるよ?」
チアはそう言ってキッチンに向かい流し台の前に立つ。
ぼんやりとしていた俺は慌ててチアの後に続いてキッチンに向かい、流しの下から鍋を取り出してふと目をやると袖をまくったチアの腕には無数のアザがあり目を疑った。
J「チア!!それどうしたんだよ!?」
そう問いかければチアは慌てて袖を下ろし腕を隠した。
C「……ぶつけただけ。」
そう言って俺の手にある鍋を取り水を入れてIHを付ける。
C「ぶつけたって…そんな色にならないよ…チアまさか…ソウヤさんに…」
チアは分かりやすいほどに顔色を変え鍋をジッと見つめた。
J「チア!!」
C「大丈夫だから!!」
「ケンカ…やだ…ケンカ…しないで…」
いつの間にか俺たちの足元にいたチビは悲しそうな顔をして、チアの足にギュッとしがみつきチアの服に顔を擦り付ける。
C「ケンカじゃないよ?父ちゃんはちゃあちゃんを心配してくれただけ。大丈夫だからあっちに行って座ってて?ね?」
チアがしゃがんでそういうとチビは泣きそうな顔をして「うん」とうなずいてちょこんとソファに座り心配そうに俺たちを見つめる。
C「本当に大丈夫だから。ジュンセはチビちゃんのこと心配してなよ…事務所に連絡しなきゃダメなんじゃないの?」
J「…そうですけど…」
C「早く連絡してこなきゃチビちゃんと一緒に先に食べちゃうからね。」
チアはぎこちない笑みを俺に浮かべそう言うと俺はチアのアザが気になりながらもスマホを持ってベッドルームに行きマネージャーに電話を入れた。
J「もしもし…セイジさん?」
セ「おぅ。ジュンセ?引っ越し無事に終わったか?」
J「うん。セイジさんあの…実は……………………」
俺は今日1日で起こった事を全てセイジさんに包み隠さずに伝えた。
セイジさんはその話を聞いたあと少しの間、無言だった。
J「…この子…どうするべきだと思いますか…?」
セ「確認だけど…本当にあの時噂になったあの子との間にできた子ではないんだな?」
J「だからそれはあの時、何度も話したじゃないですか…!!」
セ「確認だよ確認!!そうだな……とりあえず…………また何かあれば連絡しろ。」
そうして俺とセイジさんは電話を切った。
リビングに戻るとラーメンが完成していて、チビは嬉しそうにチアに食べさせてもらっていた。
C「なんて?セイジさんは…」
俺と同じ事務所の練習生だったチアはセイジさんとも知り合いで、今でもたまに会っているとセイジさんはチアの事を心配する俺に話していた。
J「セイジさんの知り合いに警察関係者の人がいるらしくて、チビの条件と同じ迷子や行方不明の子がいないか確認するって…それから警察に届けるか考えるって…」
C「そう。でもジュンセ、明日仕事でしょ?」
J「はい…」
C「じゃ、その間は私がチビちゃんのこと見てるから…」
J「お願い…します…。」
そうして俺とチアの秘密の育児が始まった。
つづく
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