第4話 文学フリマに参加

 二〇二三年十月二十二日、文学フリマ福岡に拙作を出品。文学フリマとは文学バージョンのコミケみたいなイベントのことで二〇〇二年から実施されているイベントだ。東京会場になると一万人ものの来場者数を誇り、年々、その勢いは飛ぶ鳥を落とす勢いで常に活性化されている。

 出展者の中には来場した編集者に見いだされ、単行本化され、プロになった人もいる。中にはプロの作家さんが売り子として参加することもある。カクヨムで投稿している人の中にも文学フリマに参加している人は数多くあり、質の高いweb小説を唯一購入できる機会として用意されている。会場は東京、大阪、京都、広島、札幌、岩手、前橋、福岡で開催され、ついに香川県でも開催決定が決まった。

 参加してみて思ったこと。初参加ながら十八冊も売れた! もちろん、知り合いの方も買ってくれたのでその分も含んでいるが、十五冊は全く知らない人が買ってくれたのだ。二〇二三年の文学フリマ福岡は何と一四〇〇人以上が来場し、かつてない賑わいになった。初めて売り子になって一日中売ってみて思ったこと。

 それは誰が見ているのか、分からないんだな、ということ。そして、他の参加者の質も相当にレベルが高いということ。文学フリマ福岡では『下読み小説』、『海螢』、『星神楽』、『秋日影少女』、『曼珠沙華三日月抱いたナイフだけ僕は僕を壊してしまった(短歌集)』を売った。値段も三百円の短歌集から『星神楽』の一五〇〇円まで幅広く、値段も決して安くはない。売れるかな? 一五〇〇円も付けて、と思ってはみたものの、印刷代だけで一五〇〇円もしたのだから、と思い、そのまま、売り場で待っていた。

 初めてすぐ、隣にいたネット上で知り合いのユーザーさんが『下読み小説』(一〇〇〇円)を買ってくれる。感無量。初めて売れた、自作が。こんなに嬉しいのか、と思うくらい胸が高鳴った。しばらくすると、何と一五〇〇円もする『星神楽』を買ってくれたお客さんがいた。そのお客さんはXで拙作を知ってくれた人でフォロワーさんだった。『ネットで見て気になったので』とはにかみながら言うお客さんに私は天にも昇る心地になった。

 一番人気だったのは予想通り、短歌集『曼珠沙華三日月抱いたナイフだけ僕は僕を壊してしまった』だった。三〇〇円だし、手ごろだったからだろう。拙作の中では一番多く売れた、八冊だった。買ってきたお客さんはみんな耽美好きな(風に見える)女性だった。購買層の分析にもなり、次の文学フリマに一役買った。私がファンの作家さんが『秋日影少女』を買ってくれたときも嬉しかった。


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