* ワタシノセカイ
緩くウェーブがかかった、ふわふわと揺れる桜色に、
アイスブルーな瞳が可憐な、庇護欲を唆そそる美少女。
「や…、やったぁ!!!」
頬をぺたぺたと触れて、夢か
「ちょっと、!!私って誰!名前は!!」
壁際に立っているメイド(?)に声をかければ、首を傾げつつ、答えてくれた。
「エマ様は、先日 フォスター男爵家に養子となられました。由緒正しき男爵令嬢にございます」
「エマ…、フォスター」
復唱すること、3回。
間違いない、異世界転生だ
前世で、絶大な人気を誇っていた乙女ゲーム
【一瞬の永遠を、キミと 〜 聖なる魔法と
光属性魔法を発現させたヒロインが、王立学園を舞台に、攻略対象者達と恋に落ち……きゃぁぁ///
金髪・緑眼なクーデレ【ルカス・トーリ】
赤髪・赤眼、不器用な【ディルク・オスト】
黒髪・金眼なツンデレ【ルーク・ローレン】
そして!!
完全無欠な第一王子【シオン・アルフォンス】
さらさらと輝く銀髪に、冷酷さを纏う碧眼。
……彼が大好きだった
クリアすれば、リセットして、制作会社がグッズを展開すれば、無限に回収して、イベントが企画されれば、睡眠時間を削って、没頭した。
イベント初日は、有給を使い、パジャマ姿でゲーム、がルーティーンになっていた。
「……シオン、様…///」
ぽぅっと妄想に
彼が、私を引き取った男爵ね
「エマよ、夜会で着るドレスは決まったか」
「はい!」
「そうか。ソフィア、エマを夜会一可愛い子に」
「承知致しました、旦那様」
頬を緩ませて、頷いた後、男爵は部屋を出て行った。
◇◇◇
侍女が、ドレスを用意する為、ウォークインクローゼットに向かう。
窓に視線を移せば、薄暗くなった空が
刻々と“ 出会い ”が近付いていることを告げていた。
正真正銘、私がヒロインな世界だ。
「……待っててね、シオン様 //」
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