第7話 カタルシス その1

アメリカ駐在員時代3年目、シリコンバレーに移る半年前、ボストン時代のことです。

  ある日、あるメーカーの日本担当(日本人)に会いに行きました。

この会社とはそれまで数年間取引があり、私たち商社の駐在員は日本から見学に来るエンジニアの方々を、毎週のようにそこへお連れしていました。

そのメーカーには、一人のアメリカ人サービス・エンジニア(技術者と営業マンを兼ねる)がいて、やさしい英語で親切に応対し、私たち日本の代理店の技術者から送られる様々な要望や質問に対しても親切に答えてくれる。

普通のアメリカ人と違い、気が利く・機転の利く、日本人ウケするタイプの人(35歳くらい)でした。 西海岸には、こういう人は多いのですが、東部のアメリカ人は居丈高なヤンキーばかりなので、日本人にとって貴重でした。


ヤンキー:①アメリカ人の俗称。②アメリカ風の文化・生活をありがたがる者。夏目漱石、彼岸過迄に就いて「今の世に無暗(むやみ)に新しがつてゐるものは三越呉服店とヤンキーと夫(それ)から文檀に於る一部の作家と評家だらうと」 広辞苑 第七版 (C)2018 株式会社岩波書店)


この会社とは、この年かぎりで我が社との代理店契約が満了になり、その後は商社を通さず、直接日本に法人を作って商売を続けていくことが決まっていました。 そこで、その準備の為に半年前から日本担当専任の日本人を雇用し、上記アメリカ人サービス・エンジニアと2人で私たちの窓口になっていたのです。


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