第3話 仮面とレッテル

良い悪いは別にして、大学日本拳法を(素の心で)やっていると、虚像・虚妄ではなく現実を追求する性格になる傾向があるようです。


私の場合、5年間の米国駐在生活から帰った会社があまりにも変わっていたので、会社を辞めて南米へ行くという現実を選択しました。

端から見れば空想的・夢想ですが、あの時の私にとっては、南米で行くあてもやることもあったので、「やる気仮面」ばかりの日本の会社よりも、ずっと現実的な選択でした。南米へ行く前に半年でも1年でも滞在し、スペイン語を教えてくれるアメリカの友人一家もいたのです。


外国に永住するからには「日本人」という確固とした自意識・アイデンティティーがなければ、ということで、3ヶ月間、京都の禅寺で修行したのですが、ある雲水仲間(私のような出家ではなく、代々家が寺で、根っからの坊主)の一言で「もうしばらく坊主をやってみてからにするるか」と、気が変わり、結局、4年になったのです。


「雅(が)っさん、僧堂出たら、またサラリーマンになるんかい?」「坊主はええでぇ。あんたらサラリーマンが通勤ラッシュでヒーヒー言っとる時に、わしら坊主が何しとるか知っとるか?」「朝の連続テレビ小説見てから、のんびり池の鯉に餌やっとるのや。」


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