第24話 今後の計画

「で、のこのこ帰ってきたわけですか。」

「…別に、何もせずにノコノコ帰ってきたわけじゃない。」


屋敷に戻るとトマスに一括されたアルウィン。


(ほんとうに、皇后は恐ろしかった。)


扇子をボキッと折った皇后は、アンジェラを直接アルウィンが保護するという提案を受け入れなかった。


(まあ、堂々と会えないなら、こっそり会うまでの話だが。)


「それから、若様。国王陛下をかくまっている別邸に、昨夜襲撃があったようです。」

「陛下に大事はないか?」

「もちろん、怪我一つされておりません。」


国王をかばっているゆえに、襲撃を受けることは別に想定済みだ。


「念のため、別の別邸に移っていただこう。」


机の上にたまった書類にアルウィンは判を押していく。


「今後の計画は、問題ありませんか?」

「ああ.....嫌だが、奴に頭を下げた。」


余裕そうに、にこやかに笑う腹黒野郎の姿が頭に浮かんで、イライラする。


「ノア様なら、確かでしょうに。」

「僕が嫌なんだ。あの男...。」


昔から、あのいけ好かない男が嫌いだった。

たしかに顔立ちは男と思えないほど華奢で整っているが......。


(アンにベトベトとくっつきやがって.....。)


「つまり、余裕がない器の小さい男の嫉妬ですね。」


トマスのその日の仕事量は、余裕のない主人によって倍に増やされた。



―――――――――


「つまり、叔父様から王位を取り返すには、王位選で勝たなければならない...という事ですね。」


聖女ノエラこと、ノアに招かれて神殿の聖女の部屋に来たアンジェラ。

ノアと今後の計画をたてていた。


「そういう事ですね。」


この国の王位継承順位は、三つをまずはみたす者から優先的に選ばれる。


①王族の血を持つ者

②より直系の血をもつ者

③男子であること


①はみたすのは当然のことなのでさておき、②と③の要因が王位争いの火種となることが多い。

そして今回は②の『より直系の血』を持つ私と③の『男子』である叔父ラドルフの争いである。


そして、揉めたときは、貴族・神殿・議会によって総選挙である【王位選】で次の王を決めるのだ。


「......ですが、王位選はここ100年近く行われていません。法律上は王位選を行ってもらう権利はあっても、実際に行うことはできるのでしょうか。」


「まあ、そこは大丈夫でしょう。ラドルフの性格を考えると。」


 好戦的で、より自身の地位を確実にしたいであろう叔父は、唯一の邪魔となる私を排除したいはずだ。それも、できれば、より確実な表舞台で陥れたいだろう。


(王城や貴族派の半数が叔父に味方している状況では、私の負けが確定しているようなものだと...叔父は思うはず。そこが狙いだ。)


「叔父様が、乗り気になりそうですね。」


「そうでしょうとも。自分の味方が多いゆえに、勝利を信じているでしょう。愚か。」


ノアは黒い笑みを浮かべる。


「王女殿下、あなたにしていただきたいことは、味方作りです。」


表向きには、王女の私の追放はなぜか知られていない。

叔父が王城を攻撃した時に、国王とともに逃げたと思われている。

だが、味方つくりは簡単ではないだろう。



「神殿は、私の目が届くかぎり、全面的にあなたを支持いたします。国王を保護している西の公爵、辺境伯もあなたを確実に支持をするでしょう。」


「ありがとうございます。」


しかし、叔父に勝つにはまだ足りない。

貴族の大半は、子爵や伯爵が占めている。


(なにか、行動しなくては....。)


「王女殿下、今後の予定はどうされるつもりで?」


しばらくアンジェラは考え込んでいたが、ノアの声でハッと現実に戻る。


「まずは、王城にしのびこもうと思います。」


「.......え?」




――――――――――――――――――


いつも応援をありがとうございます。

最近とても忙しく、久しぶりの投稿になってしまいました。申し訳ありません。

そして、情報量が増え、読みにくくなってきたかもしれませんが、あたたかい目で見守ってくださるとうれしいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

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傲慢な王女でしたが、追放されたので立派な平民の妻になろうと思います 結島 咲 @kjo-lily125kk

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