第15話 元王女様の宿敵は、聖女…?
「聖女様~!!」
アンジェラとレティーがたどり着いたのは、王都の有名な広場がある大通りである。
ちょうど、聖女が街で市民にむけてパレードをやっているらしい。
「アン〜!聖女様がいらっしゃるそうよ〜!!見に行こう?」
案の定、流行りモノとかに飛びつきやすいレティーがそわそわしだした。
(聖女………。ぜったーいに、会いたくない!!!)
王女だったとき、政治的な会議ではいつも自分と対立していた聖女。
彼女は、市民から絶大な人気があった。
だが、アンジェラとは反りが合わないというか………なんというか。
(彼女、政策に才がないのよね…。)
彼女の提案は、平民と神殿に都合の良いものばかり。さらには自分の言っていることは絶対に正しく、間違いなどないと思っている。
会議のたびに、アンジェラが聖女の提案に基づいて代替案を用意していたのだが……何をしても、いつも聖女にうとまれていたようだ。
気に食わないのだろうが、そこまで嫌うのかという徹底ぶりで、アンジェラを睨む・近づけば無視をする・何か言えば拗ねるという具合だ。
つまりは、お互い、仲が良くなかったのだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「アン!?ぼーっとしてないで、パレードの前の方に行くよ?」
「私はいいので、近くの少し離れた所にいるからレティーだけ見に……。」
とアンジェラが言い終わるのを待たず、レティーは強引にアンジェラの手をひいて、パレードを見に来た群衆の前の方に進んでいった。
(だから!聖女と合うわけにはいかないの!顔を知られてるの!!)
「ちょ、ちょっと、レティー…。」
その時、パッと、レティとのつないだ手がほどけた。レティの姿が遠くなる。
(人が多すぎですわ……。)
あっと言う間にレティーが見えなくなり、アンジェラは、思った方向とは違う方に押し流される。
とりあえず人混みから出たいのに抗えずにいたが……。
気がつけば、群衆の前…つまりはパレードの道に、一人押し出されていた。
(やってしまいましたわ!!)
群衆はなんだなんだというようにアンジェラを見守るが、アンジェラが入るスペースを作ってはくれない。
どうしようかあたふたしていると、ちょうど聖女の乗った神輿が目の前までやってきた。
「どけぇーー!女!!こんなところに出てきて、殺されたいのか!?ここをどこだとおもってやがる!!」
神殿付きの兵士が怒鳴る。
「もうしわけ…。」
平民としてしばらく暮らしてきたアンジェラ。
こういうときには、謝るしかない。
自分はもう王女ではないのだから。
そうして、頭を下げようとしたのだが……。
『バサッ…。』という音がして、アンジェラの頭に薄いきめ細かいベールが被せられる。
「その方に用があります。連れてきて。」
はっ、となって上を見ると、神輿の上に、聖女の顔があった。
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