第5話 仲間割れ
とうとう「大戦士長 雄一」は同じ「大戦士長 黒田」に噛みついた!
雄一は「私の名前は『松平雄一』、天下を統一すべきだ!」
と宣言した。
つまり、雄一の体の中を流れる「徳川将軍家」の血が、
ソハヤノツルキによって目覚めたのだ。
徳川家に祖をもつ人たちは以外に多い。
驚いたのは、黒田である。
昨日まで、楽しく一杯やっていたのが突然の変容である。
「一体どうしたのだ、雄一さん!」
悪霊に憑依されたかのような突然の変化だった。
「どうでも良い、私が天下をとる!」
目はつり上がり、とてもあの優しい理知的な雄一ではなかった。
つまり、雄一の背後には、「国津神」がおり、その圧倒的な
パワーに雄一は飲まれてしまっている。
精神が支配されている……。
「鎌倉幕府」「室町幕府」「江戸幕府」にしろ「幕府」と付く物は、「国津神」が支配している時代なのである。
つまり、「明治維新」後は「天津神」の天下が続いた。
そのパワーバランスが狂ったのである。
「国津神」である「大国主命」、「大物主大神」、「スサノオ」の復活である。
このままでは、「フォースの戦士たち」、日本の「天津神」、
「国津神」、の三つどもへの戦いになってしまう。
つまり「龍の一族」が二つに割れる可能性が出てきた!
「大戦士長 黒田」は考えている。
「大戦士長 雄一」は、「幻影神ホワイト・ジャイアント」、
後は恋人の「涼子」と共に、「龍の一族」を去ろうとしている。
大戦力が離れようとしているが、どうしようもないのか……。
もともと、大戦士長が二人いることに問題があった!
ソハヤノツルキの「天下を統一」するというスペシャルパワーがある。
刀工が同じ「光世」でも大典太光世(おおでんたみつよ)は人の病を癒すというスペシャルパワーを持っている。
山中鹿之介の持つ三ヶ月宗近は、天下五剣の中で最も美しいとされ、次元を切るという力を持っている。最強と言ってもいい。
坂上田村麻呂の持つソハヤの写しであるとされるソハヤノツルキは、征夷大将軍の刀なのだ。
そのソハヤノツルキを持つ人は、「源氏長者」となるため天下をうかがい始める。
雄一も天下を狙い始めてしまった。
「大戦士長 黒田」は、小烏丸(こがらすまる)の存在を思い出した。
ソハヤノツルキは抜かずの刀、小烏丸は天神様の御神体だったのだ。
いけるかもしれない!
小烏丸は平家の刀、ソハヤノツルキは征夷大将軍の刀、対抗できるか……。
まずは、雄一さんに正気に戻ってもらわねばならない。
この「仲間割れ」の情報がサリアのもとに入ってきた!
何気に嬉しかった。
この話しが、本当なら形勢逆転をするチャンスである。
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