これからの未来

「……おっと、もう夕方じゃん。ケイスケ……夕食どうする?」


「コンビニ飯……はさすがに安直すぎるか。どうしようか」


 俺たちはキスをして以降、軽く昼寝をしていた。


 そして、共に目が覚めたときにはすでに17時半になっていた。


『ホテルの隣にハンバーガーショップがあるので、そこでお持ち帰りしてホテルの部屋で食べるのはどうでしょう?』


 タイラが怠惰なのか活動的なのかよくわかんない奇怪な案を出す。


 俺とナナはそれに強く心動かされ、ハンバーガーショップへと向かっていった。


 


「「いただきます」」


 お持ち帰りした食品たちをホテルの机の上に並べ、俺たちは夕食を始める。


「にしても……これらかの僕たちって、どうなっちゃうんだろうね」


 食事中、ナナがワクワクした顔で俺に問いかける。


 ひと昔前の俺なら、『希望なんてない』とか言って適当にあしらっていたかもしれない。


 しかし、今は違う。


 早々に進学先が決まり、ナナとの関係性の変化まであった。


「きっと、予想以上になるんじゃないのかな」


 これまでは、自分の人生は生まれながらにして硬い殻に閉ざされているとばかり思っていた。


 しかし、ナナが俺の技術力を利用しつつこじ開けてくれた。


 今、俺たちの目の前には未知の可能性が広がっている。


 今後2人で開発を進めていけば、ヘイアンや電脳用義体はどんどん進化していき、まだ見ぬ世界を俺たちに見せてくれるかもしれない。


「……そうだね。そうそう、こういうのもいつか作ってみたいよね」


 一足先に食べ終えたナナがスケッチブックを取り出し、とあるページを開ける。


 そこには、人間の骨格のようなデザインのロボットが描かれていた。


 棒人間のように痩身なそのロボットには『ボーンロイド』という仮称がすでにつけられていた。


「これって……もしかして等身大?」


「もちろん。このロボットとキミのAIを組み合わせれば、労働力不足問題も解決したりして……」


「確かにな。そうなれば、俺たちは稀代きだいの発明家だよな」


 今はまだ形にすらなっていない夢物語を、俺たちは楽しげに話す。


 今までは直視するのが怖かった未来も、ナナと一緒ならまっすぐ見つめていくことができそうだ。


 


 それから、俺たちは各自で風呂に入った後、ソシャゲ周回したりサブスクでアニメを見たりしてから布団に入った。


「昨日は布団越しだったけどさ……今日は直接、しよ」


 同じ布団の中にいるナナの要望に応え、俺はナナを抱きしめる。


「……えへへ、キミという存在を感じることができて、しあわせ」


「俺も……幸せだ」


 わずかな暑苦しさと、凄まじい安心感を感じつつ、そのまま俺たちは眠りへと落ちていった。

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