第6話 大規模DIYと夢の話
日向と高尾くんと一緒に学食でお昼ご飯を食べていた。
念のため修理したい箇所の写真を撮っておいたので見せながら相談した。
「この物置は片づけたんだね」
「さすがに使わないものいっぱいあったし、母のものは両親の部屋の本棚に入ったからとりあえずおいてる」
「そっか、4畳くらいあるけど何に使うの?」
「今悩んでるんだ。住む人が減った分消耗品のストックおいてたところも余裕ある感じになったから、二階は自室以外使わなくなりそうで」
高尾くんは実家が工務店を営んでいるらしく、建築士の資格を取るために大学に通っている。
自分ひとりのお試しでやる分には作業料取らないから家で相談してもいいか聞かれたので承諾することにした。
やっぱり現地確認は必須なので今度日向と一緒に来てもらおう。
日向もものを作ることが好きでプログラミングを学んでいるが、大学で出会った高尾くんのために、空き時間に建築系の授業もとっている。
もともと勉強が好きなので、結婚するとなったら本格的にCAD?とかも覚えるらしい。
お互いがお互いを大切にしあっているのを見て、少しうらやましくなった。
10年しかないとはいえ、私にもいい人ができたりしないだろうか。
「そういえば、葵は何かやりたいことはないの?」
「やりたいこと?」
「そう、物置のとことか自分のやりたいことのためのスペースに使っちゃえば?」
「やりたいことかあ。なんだろカラオケとか?」
「今行きたいところじゃん。それは行こう」
やりたいこと、戻ってくる前は記憶はあいまいだけど、後悔したまま終わりたくない。こんどはやりたいことをやるって思って戻ってきたような感じだった。
両親の関係で忙しくしていたけれど、自分のためにもう動き出してもいいのかもしれない。
自分が生きた証を残す。やりたいことをやってみる。
「死ぬまでにやりたいこと100個あげてみようかな」
「急に何?どうした?」
「なんかやりたいことって言われたら、いろいろあったから取り合えず100個くらいあげてみようかなって」
「いいじゃん。今大学生だしやりたいこともやれることもたくさんあるだろうからそのための部屋にしちゃおうよ」
それはいい考えだ。
やりたいことを収めていく部屋。
完成したらきっと人生に満足することができるんじゃないかな。
ドキドキワクワクしながら、使っている手帳のフリー欄にやりたいことを書いていった。
隣から日向と高尾くんのイチャイチャした声が聞こえてくるけれど、そんなことよりも今私には夢が必要なんだと書き連ねながら実感した。
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