第5話 弁護士と大学の友達
あの後とりあえず今後のことを誰かに相談したくて、覚えていた弁護士事務所の名前を検索した。
私が前の人生でお世話になった仕事の取引先である板野原法律事務所。
一番お世話になった原Jrは私より5つ上でたしか大学4年のときに司法書士に司法試験に合格して、親のやっている事務所に就職したと言っていた。
その後、弁護士の資格も取得しているのだからすごい人だよな。
「はい、板野原法律事務所です」
「すみません、相続の相談をしたいのですが」
話はトントン拍子に進んだ。
そんなに難しくない相続だと原Jrに割り振られた私の依頼。
宝くじのことを告げたときにはびっくりしたみたいだったけど、さすがは司法書士。
家の登記のことや、必要書類を全部そろえてくれたし、手続きもしてくれた。
それに、これから弁護士になるのなら困ったときに相談できる相手になるから本当に良い出会いになった。
「やっと、大学3年生始まる〜」
私は大学で情報工学について学んでいる。
簡単に言えばSEやプログラミングを行う学部だ。
工学部ということで、だいぶ女子は少ない。
そんな中で仲の良い友人と同じゼミになったのは本当に運が良かった。
「葵〜」
「日向、おはよー」
「もう忙しくないの?無理してない?」
「大丈夫!司法書士の先生に頼んだから。それよりも家の修理の見積もりのほうが大変かも」
「なんかあったの?」
「平日日中なんだよね……午後からはゼミの方行くことにしてたから午前に授業あるとなかなか家に戻れなくて」
「よくわかんないけど、自分で直すとか言ってなかったっけ」
元はそうだったが、修理したい箇所の多さと煩雑さに専門家に頼んだほうがいいと思うようになった。
「でも、修理業者入るようになっても平日日中?なんじゃない?」
「……たしかに」
「私の彼氏建築科で他の人よりは詳しいだろうから3人でやってみる?」
日向の言葉は予想してなかったことだった。
でも日向の彼氏、高尾くんのことは知ってる。日向にひとめぼれしてから他の娘は目に入らないくらい惚れ込んでいて、大学を卒業したら結婚する話も出ているらしい。
何度か話したこともあるから、人柄はわかってる。
「ちょっとそれ面白そうだからお昼とか食べながら相談したいな」
「オッケー!今日大学きてるから今日の昼で!」
前は今頃大学をやめようとしていたから、日向とも連絡を取らなくなった。
その縁がこうやってまた続いていくのは本当に、嬉しいし泣きたくなる。
ああ、今なら何でもできるかもしれない!
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