第12話 夏が終わり…

しばらくの時間が過ぎた。

あの日から、彩夏は僕の家に来るようになった。

ある日。彼女に、合鍵を渡した。

僕の仕事がある日は、彩夏が夕飯を作り置きしておいてくれる。

お互いに仕事の日は、なかなか顔を合わせることが出来なかったが休日や休みの前日は極力会っている。

お互いに平日に休みだから休みを合わせることが出来た。

そして、お互い休みの日はデイキャンプへ行く事が密かな楽しみになっている。

今日は、貸し切りスペースへと来ている。

すっかり、2台のバイクで荷物を分担して運ぶ様になった。

その為、多くの機材を運ぶことが出来るようになっている。

今日は、2人でBBQをしている。

と言うよりも僕ら2人が主催で準備をしているが正しい。

まあ、まだ参加者が集まっていないから実質2人なのだが。


「彩夏、今日はありがとう」

「ううん?私の方こそ」


今日は、お互いの職場の人達と合同でBBQをすることになった。

まあ、人数的には小規模だ。

彩夏の職場の人が嬉々として乗り気だった。

あれは、アウトドア教を布教したいからではないだろうか。

まあ、僕も彩夏に布教された側だが。

さて、現在そのアウトドア教の教祖(店長)と信者(店員)はというと到着していない。

まあ、実際は夜が本番なのだ。

といっても、全員が来れるわけではない。

営業時間との兼ね合いがね。

長時間の貸し切りにしているので、気長にやっていこうと思う。

現在時刻は、18時だ。

早ければ、ぼちぼち集まってくるだろう。

僕らは、BBQセットを数基準備した。

といっても、まだ火をしっかりは熾していない。

今は、焚き火シートを敷いて焚き火台で焚き火をしている。

この火から移せば楽に着火できるだろう。

まあ、それは教祖が来たらやってくれる気がする。

僕らは、焚き火台の前にベンチを置いて座っている。


「あ、そうだ。ねぇ、宗一朗」

「ん?どうしたの?」


僕の耳元で、吐息交じりに彩夏がそう言った。

彼女の頭は、僕の右肩にあるからそう聞こえる。


「秋になったら少し遠出しない?」

「いいよ。そっか、夏ももう終わりか」


この夏は、彩夏と再会して…忙しい毎日で忙殺されたな。

お盆があったから忙しかった。

あと数日で8月も終わる。

秋と言えば、紅葉か。


「香嵐渓とかいく?」

「うん、じゃあグランピングなんてどうかな?」

「グランピング…いいかもね。

じゃあ、基本はツーリングかな?」

「うん、そんな感じで…早めに予約しなきゃ」


オンシーズンじゃ混みそうだからなぁ。

他に紅葉と言うとどこがあったかな。


「紅葉と言うと、秋葉山やスーパー林道とかだよね」

「他にも、法多山や可睡斎、花咲乃庄もあるよ」

「ああ、磐田・袋井方面か。確かにそっちもあったね」


遠州三山の法多山と可睡斎は、秋にはライトアップも行われるらしい。

花咲乃庄は 満天星ドウダンツツジが有名だ。

この辺りは、11月下旬から12月上旬が見頃だろう。

まあ、この後の気温でも変わるけど。

紅葉は、クロロフィルが分解されアントシアニンが作られることによって赤い『紅葉』となる。

クロロフィルが、葉を緑色にしている。

また、黄色い葉はカロテノイドが残って黄色く見える。

通常は、クロロフィルとカロテノイドが緑色を形成している。

アントシアニンが生成される植物のみが紅葉をして、緑色から赤になるというわけだ。

綺麗な紅葉になるには、晴天が続き、空気が澄んでいて十分な太陽光が葉に当たること。

昼と夜の寒暖の差が大きく、夜には急激な冷え込みがあること。

降雨が少なく、地中がほどよく乾燥すること。

葉が枯れないくらいの適度な湿度があることの条件がある。

ちなみに、朝の気温が8~9℃を下回ると紅葉が始まるとされている。


「じゃあ、11月は紅葉を見にいろんなところに行こうか」

「うん、楽しみだね」


秋の楽しみが出来た。

9月の新作も頑張れそうだ。


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教祖様と信者の登場はありません。

個別登場はこの先に用意してます。

9/1からの新作…。

今回の貸し切りスペースは、まだオープン前の施設の情報を参照させていただきました。

なので、本来の施設とは随分違うと思われます。

ぬくもりの森の傍に24時間営業の施設が出来るらしい。


ちょうど、この回を書いてる時期(11/21)が法多山・可睡斎の見頃です。

また、龍潭寺も見頃かな。

その辺りは、この後書いていくと思います。

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