第46話・南の町

 南の町はアジア系というか、服装はアジアン系の様子であり、私はドワーフ国の人らしい大臣に連れられて、港町朱雀神殿借地へと向かう。


「来たか。我が名はドワーフ王ドンドンである。すまないが、朱雀様の証を見せてくれ」


「はい」


 朱雀の羽根を見て、うん本物だと納得。すぐに現場監督が来て、メインとなる神の像の設置と神殿周辺の建設はシルバの指示を聞くように言われた。


「神の神殿作りに手を貸せるなら、ぜひとも」


「よろしくお願いします」


「それでは次は商談だな。野菜を使った料理か」


 少し遠い目をするが、傍にいる王妃様がゴッホンと大きくする。さすがにそれにビビりながら、料理の説明に入る。


「料理の説明ですが、基本はお酒に合う料理並び、スパイスを使った料理です」


「なに? 酒に合うのか?」


「はい。この国の人は基本、お酒が好きですし、急にそれをやめることはできないでしょう。ただ野菜を食べない、ここが問題だと解釈しました」


 それには王妃様も大きく頷く。


「確かにドワーフですからね。急に酒を飲むなというのは、牢獄にでも入れなければ無理な話です。ただ肉ばかりで野菜を食べないのが問題なんですよ」


「はい、ですので、野菜をたくさん食べる料理をお持ちしました」


 まずは餃子シリーズ。焼き餃子や水餃子、揚げ餃子もある。これを食べて、おおっと歓喜の声を上げた。


「シャキシャキした野菜を感じるが肉も少し入っている。なにより醤油をかけて食べたりと味も良い。仕事後の酒に合いそうだな」


「これなら好きなだけ食べても怒りませんね」


 ニンニクがあるが、ニオイに関しても問題ないという意見が通る。


 次にカレー、これにはカレーのコテハンを求める人が参加している。辛めのカレーを王は喜んで食べていた。


「これは良いな。汗をかき、冷たい水を飲む。酒を飲むことを止められているときはこれで良いぞ」


「そうですね、スパイスや野菜が多いですし、あまくちというのなら、子供にもぴったりですね。作り方を料理人に学んでもらいましょう」


 王妃様もこれにはにっこり、次にキャベツを大量に使った料理。お好み焼きだ。


「んーキャベツメインと聞いたが、なかなか旨い!これならいくらでも入る」


「これは、流行って欲しいですね。酒と肉しか食わないという人でも、キャベツ以外、肉や海鮮を加えたものなら、安心です」


 最後にこれも野菜もメイン、バーベキューだ。


「これは酒に合う!なんだ、野菜でも酒に合うではないか!?」


「お手軽ですが、タレが美味しいんでしょうね。いえ、新鮮な野菜もうまいからですか」


 朱雀の神託とはいえ、野菜を食わされると思った王様は以外にも酒に合うものを勧められてニッコリ、これなら前よりかマシと、王妃様もニッコリ。


「朱雀の方も問題ないようだな。私がいることには疑問に思っているようだが」


「あんたの場合、お酒を飲みに来たと言えば納得しそうですね」


「いましたな。あっははははは」


 玄武様もニッコリとなり、私はとりあえずこれらをメインに出す店を出すことになる。それと野菜の栽培だ。


「初めまして、コボルトの『リコ』です。この町の初心者農家です」


「他に農家はいないのかい?」


「いえ、メインでしていないだけで、あとは細々と。薬メインだったりします」


「そうか、それじゃ、君は農業レベルとランクを上げるのに集中しつつ、王家から支給される種を育てようか」


「はい。よろしくお願いします」


 コボルトの子と仲良くやりながら、ぼちぼち参加する農家の人達と共に野菜の確保をする。


 町の反応はまあまあという感じだ。バーベキューと餃子が大人に、子供や若者はカレーにハマっている。


「辛ッ!水水~」


「カレーはどちらかといえば、良く冷えた水が良いな! 酒を止められている身としては助かる」


「野菜もたくさん入ってるし、これならニンジン食べられる」


「お代わり!」


「まあまあ、ジャガイモや嫌いなニンジンもペロリと、助かりますわ~」


「お好み焼きもうまいな。ふわふわしてて、山芋が混じってるな」


「ああ、キャベツもシャキシャキ、もやしいっぱいには少し戸惑ったが、なかなかいけるな!」


「向こうだと他にも野菜料理の試食があるらしい。うまいのあるかな?」


 クマ三もラーメンを出したりしてアピールしている。酒飲みが締めくくりにやってきているようだ。


 とりあえず現状問題は無さそうだ。私の方は朱雀の像を作るため、大きい木を削り、大きな燃える鳥を作る。システムアシストがあるから、かなり楽にいいのができてるな。


 いまはこのまま様子見だな。こうして過ごすのであった。


 …

 ……

 ………


 やばっ、おじいちゃん達来てるじゃん。


「どうしたの?」


 コボルトのリコが話しかけてくる。


「ううん、シルバさんって有名プレイヤーだからびっくりして」


「そうだね。薬草メインだけど畑を一部野菜にするの?」


「うん。金策に使えそうだし、農家としてのランクとスキルをいま上げ時だもん」


「一緒に頑張ろう。私もメイン農家だから頑張らないと」


「そうだね。頑張ろう」


 とりあえずいまはこのままでいいか。どーせおばあちゃん以外にはバレないでしょう。友達のリコと出会ってもスルーして微笑んでたし。


 いまは黙ってゲーム楽しもうっと

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