第45話・新しい神の神託

 孫が一緒に遊んでくれない。仕方ないと思うが悲しいな。


 友達と遊んでいるらしいことは聞けている。会いに行くといけないから、スクショは若葉さんにしか見せていない。ちぇ、分かったらこの装備を届けたいのに。


「だから嫌がられているんですよもう」


 若葉さんに叱られて、私は簡易の神殿作りのため、神の像を作ったりしている。これは売っても良いらしく、そこそこ安めに売っている。


 それでもお守りとして買いたがる人はいるため、私はそこそこ木工技術を上げていた。


 そんな時、畑に火の鳥が舞い降りる。


「ほげー」


『すまない、ここにシルバというコボルトはいるか?』


 名前を朱雀様。南よりやってきたらしい。


 どうしてここにと聞くと、私も簡易神殿が欲しいからと、少しドワーフ国をよくしたいらしい。


『彼らはしっかり献上する物は献上し、私も火の加護として火山が噴火しかかったら報告するのを繰り返している』


 自然現象を神の力で抑え込むのはまずいので、噴火しそうになったら報告するのが形になったらしい。自分の本殿は火の中にあるため、普通の方は入れない。火属性の魔法に長けた者なら話は別らしい。


 こうして神殿へのお供えは国の物ばかりになった。その中で国を見ているが、少し気になった。


 肉と酒しか食べてない。


 子供も大人も老人も、酒を飲み、肉を食らい、野菜は食べず、女達に叱られる。


 さすがにまずいなと思い、シルバと言うコボルトは野菜の事に詳しい、神の代理人のように神と縁がある。頼んでも良いかと思い、こうして来たらしい。


「それはそれは」


「話を聞いてくれるか?」


 若い男性になった朱雀様。妻と一緒にやらせていただきますという話をして、料理クラブしている妻達に話を持ち込んだ。


「良いですね。お野菜メインならキャベツで一つ思いつきます」


「餃子も食べてもらえそうだね」


「ニンニクはある!行けるぞ!」


「他に野菜か、魚もいいかも」


「うまい燻製を作ろうぜ!」


 こっちはやる気があるらしい。


 それと簡易神殿作り。これは南の町でドワーフ王の名の下に作るらしい。実際は奥さんが野菜食わせると言っている。これには少し戸惑っているらしい。


 お肉もうまいが野菜もうまい。若葉さんがやる気だし、子供達も嬉しそうだ。


 とりあえず朱雀の羽根を持つ私は一時的に朱雀様の代理人としての立場がある。これで野菜を食わせるらしい。


 いまはお肉大好きお酒大好きドワーフ(男衆)達に野菜やお魚を食べさせる計画を立ててくれている。私は私で畑の購入資金と、しばらく空けるからお店の手配をすることに。


「リリィちゃんはどうするかね?」


「南の島にも特有の服があるそうなので、勉強させてください」


 こうして彼女も連れて、準備をする。


「ずーるーいー、お酒もおつまみも欲しい」


「玄武様。さすがにその姿でお酒を勧めるのは少し」


「これでも千年は軽く過ごしてるんだぞー」


 玄武様が文句を言いに来た。それでも時々、お酒を捧げる人もいるんだが、それでも欲しいらしい。


「私も行くぞ。ドワーフがお前を欲しがると思うからな」


「ほげー」


 こうして玄武様まで付いてくることに。夜姫は笑いながらワインをちびちび飲んでいる。


「ずるいぞ夜姫!」


「小さい方が楽だからって、大人にならないあんさんが悪いんですよ」


「きー!」


 こらこら喧嘩はしない。カレーは食べていいから、何気にピリ辛が良いらしい。ソフィは甘口が良い。


 若葉さんがはいはいと微笑みながら食事の準備をしてくれる。


「戦闘は無さそうだけど、リーサがいるから大人しいな一突き兎」


「ですね」


 すっかりお姫様扱いのリーサ。子供達にも触られて品が良いね。


 優しい子になればそれでいいさ。よしよし。


 プレイヤーもここら辺の一突き兎は退治しないと暗黙のルールができている。わざわざ経験値が足りない中、ありがたい話だよ。


 こうして色々準備をして、私は元木材ブローカーさんに連絡して、精霊樹と妖精樹も確保して、準備をしておく。


 火に強い建物にした方が良いから、それを調べたり材料を集めたりしている。向こうで先に掲示板で話して、材料を集めてもらっている。


 朱雀と麒麟の本殿は未発見、青龍は町の中、玄武は水晶洞窟、白虎様は人数制限しているがオープンになった。


 こうして五柱の神様の神殿が町に配置されるようになる。これはたぶん良いことなんだろうな。


 そう思いながら道具の整備をして、グレードも上げられるものは上げておき、私達は南のドワーフ国へと向かうのであった。


「楽しみだね」


「ご」


「お父さん向こうご飯楽しみ」


「お肉ーお肉ー」


「お魚ーお魚ー」


「野菜もたくさん食べさせてあげようねー」


「おー」


「私は楽しみですー」


「良い子ねカナリアは」


 こうして我々は仲良く、船に乗って移動を開始する。


 ついでについてくるプレイヤーやクランもいる。彼らは彼らで騒動に参加するためである。なにもなければいいんだけどなー


 それでは、出発しんこーーー!

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