第43話・内乱終了

 ここでエルフ国内乱イベントとしてプレイヤーが活動を開始。一部のプレイヤーは戦局を見ながら、もう終わるなと思った。


「敵陣の動きってどうですか?」


「まず食料はモンスターと精霊と妖精、エルフ王族に集中して周りが食べてない。そのせいで空腹状態のデバフ状態の戦闘。プレイヤーが負ける道理は無い。だが本陣に攻め込むのはもうそろそろだな」


「もう攻め込めばいいじゃん」


「バカ、相手は腐っても王族エルフで、モンスターや精霊もかなり上位の存在がいる。攻め込むにしても土台を整えないと。それはもうすぐ終わる」


「こっちは食料があるから、だいぶ余裕はあるよね~コボルトさんには感謝だよ」


「とはいえ本人も言ってたんだが速攻で運営しているから、最初の戦いが肝心だ」


 そう言って立ち上がるのはトッププレイヤーガチ勢。ガチで装備などを整えた者達として、一番槍を任されて手間取るのは沽券にかかわる。


「とりあえず白虎様のオーダーは王族以外は殺さなくていいそうだ。弟王族は罪を償わせるから、極力は避けて欲しいとのこと」


「それ以外はぶっ壊してくれか。分かってるう~」


 こうしてガチ勢が牙を剥き、新制エルフ国は滅亡するのであった。


 ◇◆◇◆◇


「はい、ご飯だよ!」


 ソフィがいっぱいの握り飯をエルフ国民に配っている。敗北した国の民、まずはどんな目に遭うかと怯えていたが、最初にされたことは食事を与えられたことに、全員驚いていた。


「肉か、良いのか? 肉を食うのは法では避けられることだ」


「気にしないでください。もうそんなルールはありません。ほどほどになら食べたって良いんです」


「なら先に子供達に、もうまともなものは食べさせてやれてないんだ」


「あなたの分もあります。だからあなたも食べてください」


「ありがとう……ありがとう」


 苦手な人用に野菜も用意して、野菜を食べる人が多い。いきなり肉を食べるようにはできないようだ。


 そしてしばらくして、新エルフ派の人達は縄に縛られて出てくる。巫女としての女性。正直、趣味が悪い服装だ。宝石やらなんやらを無数につけている。


「貴様たち、我々になにをしているか分かっているのか!?」


「叔父上、もうあなたの言葉に騙されません。このお方を前にしてもその強がりはできますか」


 そして現れたのは、白い虎の姿、金属のような爪と牙を持つ。神としての存在、白虎が地をうならせ、大地を震わせて現れる。


「びゃっ、白虎様!?」


『よくも我が言の葉と偽り、自分達の思い通り、国を仕切ったな!』


「それは、いえいえ、それは全て巫女である我が娘が神意を受け取ったけっ」


『ふざけるな!その娘が一度たりとも巫女の訓練をしたところなぞ見ていない!神を侮るなよ無礼者!』


 巫女と言われた子は、すぐに父親がそう言えと言ったから言ったと白状。他の者もすぐに新エルフ派の王族の責任者を生贄にしようとする。


『そしてそこにいる妖精と精霊! 貴様たちも同罪だ!』


 こちらもまた縄で縛られ、兵士達に捕まった者達。


「俺らはただ住処を奪われたから取り戻そうとしただけだ!」


『言ったはずだ!民を傷つける者は森には住ませないと! 貴様達が積極的に人にモンスターをけしかけていたのは知っているぞ!』


「他国の奴だけだ!」


「俺は貧乏集落っていう奴らしかやってねえ!」


『黙れッ!!!』


 ちなみに若葉さんは白虎様のことをたしなめながらである。子供のように、大きくなった虎である白虎に怯えず、子供に対するように変わらず接している。


「コボルトさんの若葉さんが巫女っぽいな」


「なー」


 私もそう思う。


『いまここで精霊と妖精は選べ! 大人しく住処を共有してやりくりして静かに暮らすか、ここで我に食われるか! エルフ達は新王であるこやつの政治に大人しく従え!』


「そんな、こんな若造に国は務まりません!」


『それを見誤るほど落ちぶれたか! すでに国の運営のため、他国と協力、貧民ら苦しむ者達のため仕事の斡旋! さらに国税を使った食料の配布を行っている! お前達が宝石や上質の布に使う金でだ! それを支える者達もいる! 貴様らより上等だたわけ!』


「くっ、神は操られている!だからこんな、ならば!」


 その時、なにかしようとしたが、それより早くトップガチ勢プレイヤーが捕虜エルフに剣を向けた。


「おっとキャンセルだ」


「くっ」


『ちっ、悪霊の気配がする! もうよい、結界を張る、好きにさせて始末してくれ』


「この力を持って、国の繁栄のために!」


「まっ、待ってそれは」


「やめろ!」


 妖精と精霊が叫ぶが、何かを取り出し、精霊と妖精に投げたら、暗闇に飲まれて一つになっていく。


「おいおい、手下を使った生物兵器か。三下のやるパターンだ」


「うるさい、やれ妖魔精霊! 正義の鉄槌をくだ」


 最初にグロテスクな怪物は前足で新エルフ派を踏みつけて潰した。


 咆哮を上げるそれを見て、ふさわしい末路かと白虎は言い、結界を張る。


 こうして全プレイヤーレイド戦が始まるのであった。


 私達も戦うぞ。

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