第35話・遊ぶ老人
とりあえず神殿ミニはできました。品質、レア度共々高めに。
「エクリプス様ってこれでいい?」
「はいです。問題なし」
夜姫からOKもらい、四つのミニ神殿を畑前に設置した。他の料理人プレイヤーがまずは私がと言って、自作のクッキーをマテリアル様に捧げる。
「アイテムが消えた」
「どうだ?」
「んー称号や武器は無いや。生産能力が一時的にアップした」
「それはミニ神殿だからかな?」
「少しやって検証して良いですか?」
「中に入らなければいいよ」
「では」
それからしばらくマテリアル、玄武、麒麟、エクリプスの四人の神に祈りを捧げ、検証する。
やはりレベルの高い、品質の良い物でないとアイテムは手に入らない。かわりに確定で経験値増量や、スキルが手に入ることは起こるらしい。
「そんな本格的な神殿で無いから、与えられる加護は少ないです。数をこなせば分からないけど」
夜姫もそう言っている。とりあえず生産をし始める時にマテリアル様。水関係に関わることをするなら玄武様、戦闘は麒麟様。エクリプス様は夜か朝に集中して活動する時に捧げものをして、ご加護をもらうのが良さそうだ。
ただ気になるのは………
「夜姫、エクリプスって君に似てない?」
「吸血鬼やからねー」
そう言って躱す。まあ答える気が無いならいいや。
若葉さんはタマゴを温めながら活動して、私はしっかりとお祈りして畑の作業に入る。トマトをしっかり育てなければいけない。
中級農業スキルが手に入り、どんなことができるか試さないと。レベル5まで育てないとな。
お米もできやすくなり、とりあえず神経使うがこれで良い。老け込むよりマシだ。
私は転移門というところを使い、獣国の方で畑の確認。こちらでは多数のプレイヤーや、お米作りに興味持った人達が手を貸しながら育てている。確認はしっかりしないとな。
調整などしながら指示を出して、これほど大きな畑は初めてだからわくわくする。
米は酒などに変えるらしい。他にも米でできることがさまざまだ。玄米ではないがぬか漬けができるか試している。できたので生産して利用しようと思う。
ぬか漬けが食べられると知って、和食好きは張り切り、生産に新しい物が増えるから、住人達もやる気が出る。
しばらくは農業と料理レシピに集中した。
◇◆◇◆◇
米作りだが、スキルが中級になり、かなり安定している。
米から酒を造るのだが、知識を利用して様々な酒を造る。イモからも焼酎を作り、ウイスキーも作りながら、熟成などの知識を教え、製作する。
そんな中、桃の樹の実が変化して、いくつか仙桃というアイテムが採れるようになった。少量の回復と病気治癒などの効果がある。
「これ薬や食事に使えないかしら?」
仙桃の生産を決めた私は、若葉さんにたくさん渡す為、畑のやりくりをし出した。
どうも仙桃は、玄武の神殿傍で実りやすい、玄武様の加護でできてるんだろう。
麒麟様も同じ効果があるかもと思い、カボチャなど植えてみたら、クリスタルカボチャができた。すげえ。
こうしたやり取りをしながら、畑の運営もして楽しんでいる。もうすぐ第2陣も来るし、孫が遊ぶのが楽しみで仕方ない。
「装備もしっかりしたものを作ろうか」
刃物など、知識を使って作ろう。鉈ならよく使うから、分かりやすい。後は刀か。
切れやすい物、折れにくい物、そうして種類を作り、工夫して一つにする。
なかなか楽しい。武器が強くなるのは楽しいと思い、鍛冶が少しずつレベルが上がる。しばらくは鍛冶スキルを育てるか。
鎧などNPCの店を回ったりしてよく見て、盾を作ったりする。大きな盾はタンク系のプレイヤーが買い込むことが多い。
大きい、といっても、両手で使う物や片手で扱える物とさまざまだ。魔法を防ぐか刃物を防ぐか、色々考えて工夫する。コボルトの身だが、人用の盾など作れて助かるね。
こうしてゲーム内で、畑を拡張しつつ、鍛冶を育てていくのであった。
◇◆◇◆◇
そうこうして遊んでいるとゲームの中でタマゴの一つが孵った。
三つのアイテムを捧げて、タマゴに力を捧げましょうになり、私はエクスプロージョンオイルを出した。妻はやだもうと呆れた目で見る。
「私はオニキスの宝石布で作った洋服です。男の子っぽいですが、これで」
「なら武器はこのハンマーにするか」
「良いですね。売れそうにないですし」
攻撃力のみに重点を置いたハンマー。強くし過ぎて重く、使いづらいため、アイテムに捧げたら、この子が生まれた。
「♪」
ぐつぐつと赤いマグマを纏い、黒い甲冑を纏うオオカブト。三つの角と羽根は炎のように噴射して飛ぶ昆虫モンスター。
名前をマグマバーナーオオカブト、それなら『マグマ』だな。オイルフラワーを食べている。
「あらあら、強そうな子ですね」
「あっ、だけど明確な弱点がある。水がダメだってスキルがあるよ」
それ以外は強く、固くと強い。水、特に魔法が弱点。水晶洞窟でレベル上げは不向きだろう。
なら森に行くか。そう決めて私はメンバーを厳選して向かうことにした。
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