第25話・黄金の畑

 酒の方だが大蛇の醸造樽というものがある。エリアボスを倒した際に手に入れたもの。いままで中に入れるアイテム不足で使えなかった。


 果物を複数持つことにより、果実酒というアイテムを作り、より濃くしたものはこちら。


 フルーツウイスキーというお酒である。


「うむうむ。なかなか果物の味が濃いな。一杯だけなら泥酔状態にならないが、それ以降だとふらふらになるから、味の調整は難しかった」


「仕込む果物によって味が変わって不思議ですね」


「酒に強い人じゃないと、味に飲まれるだろうしね」


 気を付けて作ってはいるがこれは完全に嗜好品だな。楽しみ以外に役に立たない。


 いくつか作ったが、売れるか分からないな。


 後は子供達が飲まないようにしないとな。プレイヤーは未成年設定だとジュースになるが、NPCはジュースになるか分からないからね。


「それじゃ、地底湖に行って来るよ」


「はい。私はお料理教室をしてますね」


「なんか持ってくる?」


「ではまたサンマを」


「はいよ」


 ワープ機能は使えるので、地底湖にはすぐに行ける。三人娘と共に地底湖の探索。採掘ポイントで発掘をすると、珍しいものが手に入る。


「化石だー」


「化石ってなあに?」


「んー骨とかが石になったものかな? 化石は専門外だからな」


 琥珀は手に入るのは分かるが、化石か。さすがに鑑定してもレベルが足りないから、なんの化石か分からない。


 とりあえず採掘していると『重曹石』が手に入る。


「これは料理に使えるか?」


 ラーメンの麺づくりをしたいプレイヤーがいるが、噂は聞かない。まあ彼らは豚骨求めてイノシシ狩ってるからな。


 とりあえず持ち帰りで、モンスターはアリアントソルジャーが出てくる。


「ズババーン!」


 ソフィが切り捨てて、ルビが火魔法で蹴散らす。私はダイチと共に壁をしている。盾を持つのもいいかも知れないな。


「『振りかぶり』!」


 メイスのアーツを使い、アリアント系モンスターを吹き飛ばす。ん?


 気になるが後だ。戦闘を終了させよう。


「終わりましたお父様」


 ルビの言葉に頷き、私は気になった壁を調べる。


「うん。ダイチ」


「ご?」


「ここにパンチしてみて」


「ご」


 パンチを放つと壁が崩れ、隠し通路が現れた。


 私達は先に進むと水晶がたくさん生えていて、遺跡のような、ミニ神殿がある。


「これはなんだろう?」


 文字が書かれている。これならば読めるな。


 水神神殿と書かれていて、蛇の尾を持つカメ?の像がある。ウインドウが開く。


『神に捧げものをしますか? YES/NO』


「神様の神殿か」


 神様と言えば酒だ。


 フルーツウイスキーを取り出して捧げてみるを選択。アイテムが消えると共に光り輝き、天使の少女が現れた。


「我の名は『見習い天使』。神よりそなたに仕えるように言われた」


「ほげー」


 新しい娘が出て来た。名前は『ユキ』にしよう。真っ白で可愛らしい、天使の女の子だ。


 水魔法の使い手で、ここにいるのは水の神様だと教えられた。


 そのほかにもバニラの実とニクニンニクを見つけることができた。ニンニクは匂いが強いが、料理の幅が広がるだろう。


 それでは帰ることにしよう。ここのことはプレイヤーに報告しようか。


 スクショして帰ることにした。


 ◇◆◇◆◇


「ただいま。おー」


 帰る頃、一部の畑が黄金に輝いていた。


 お米ができたのだ。若葉さんも写真を撮り、こちらに来る。


「できましたね。あらその子は?」


「母上よろしく」


「ああ、テイムすることができた新しい家族さ。後は刈って乾燥させて殻を取るのか」


「刈るのは私達がしてますので、あなたは」


「うん、できるか分からないけど作るか」


 作業台で木工と石工を使い、臼を作り、脱穀の準備をする。石工の方はできた。パソコンでにらめっこしていたかいがある。


 風車小屋のようなものも作り、くっつけた。そしたら施設『風車小屋ミニ』と出た。これはアイテム化したようだ。


 しばらく自然乾燥させた後、脱穀するために設置すると、白いお米が出て来た。


「一応は成功かな?」


「見た目は綺麗なお米ですね」


「だけど半分は失敗してるからな」


 お米は半分は黄金に実り、半分は緑のままだ。これはスキルが足りないのか分からないな。


 後は炊くだけだが、ここからは若葉さんの出番だ。


「釜で焼くのは久々ですねえ」


 そう言って器用に私が作った釜で作り始める。システム的には問題ないが、果たしてうまくいくだろうか?


 そろそろログアウト、というところで、できましたよーという声に全員集まる。


 釜の蓋を開けると、真っ白いお米が出て来た。


「美味しいの?」


「ええ、待っててね。いま塩おにぎりにしますから」


 手慣れた手つきで塩おにぎりにして、私達の前に並ぶおにぎり。それをいただきますと言って食べる。


「うん、お米だ」


「お米おいしいね」


「ふふっ、よかったわあ」


 こうしてお米を手に入れた。スクショのブログで載せることにする。情報解禁だ。


 これからお米料理が流行るだろうから、たくさん作らないと。野菜も作るぞ。


「作るとしたら漬物も作るか」


「ですね。木製の桶とか作れそうですし」


「レベルも高いし、やってみるか」


 こうして話し合いが終わり、新しい家族のお祝いをして過ごすのであった。

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