第26話・若葉さんの料理教室

 みりんが欲しい今日この頃、若葉です。


 シルバさんとログインして、子供達やシープ達の様子を見て、タマゴを回収します。食用のタマゴも大きく、卵黄が大きいんですよね。


 みりん、日本のご家庭で作るのは禁止ですが、ゲームの中なら作れるかもしれません。お米から作るので醸造樽を確認します。


 米みりん。


 ありました。早速作ることにします。


「ふう、今回のブレンドは良い」


 あの人は少しお酒作りにハマってます。現実では資格が無ければ違法ですからね。やれないことを楽しむのもこのゲームならではです。


 その後は木工を使い、漬物作りのために入れ物を作り、色々試します。味噌漬けを簡単にした人もいますし、陶器も作れるか試してみます。


 粘土はいろんなところから掘るそうで、いまからみんなで行って来るそうです。


「お気をつけて」


 私は料理教室があるので留守番です。いつもの日課で教会の方でお祈りします。


 マテリアルさん、ご飯食べてるかしら? 忙しい忙しいと言ってましたから、捧げものとしてサンドイッチを捧げます。教会の子達の分に貝柱のクリームシチューも。


「いつもありがとね」


「いえいえ、主人がお世話になってますから」


 クレアさんには調合でお世話になっています。そろそろ亭主に中級セットを買うように言われました。道具のアップグレードも考える頃のようですね。


 調理道具の方も一通り確認しましょうか。私は家に戻り、外にテーブルを設置して青空教室のように料理教室を開きます。


「先生、このみりんとお米はまさか」


「お米はブログの方で紹介しましたね。少しですが手に入るようです」


「ついにお米様の降臨だ!」


 お米は若い子達は食べたいですからね。これで親子丼など作りましょう。他に作るのはラーメンの麺づくりでしょうか。色々試さないと。


「ネットで見た限りこれで良いはずですね」


「さすがの手際ですね」


「これでも孫もいる主婦ですからね。ラーメンの麺づくりは初めてですが」


 とりあえずそばのように切ってみます。少し湯がいて魚だしと醤油ダレで整えて、味見です。


「おおラーメンの麺だ」


「感触がラーメンの麺です!」


「ちぢれ?も作れるか?」


「麺ってどんな種類があるっけ?」


「それでは今度は配分を変えてみましょう」


「んー小麦粉が違う気がするが、麺ができるのは一歩前進です!」


 ラーメン作りは、お店が熊本ラーメン屋で、いずれ継ぎたいがオリジナル麺も作りたいというプレイヤーの『クマ三』さんが真剣です。豚骨ラーメンを初めて作り、いまは塩だれなど作ってますからね。


「麺の作り方、もう少し勉強するか。もう少し歯ごたえが欲しい」


「のど越しは良いよね。うどんとかも作りたい」


「それではうどんも。こちらは作れますよ」


 うどんはウチで取れた小麦粉で打ったことがあります。本格的な出汁は取れるか? 少し実験です。かき揚げも作りましょう。パン用の小麦粉ですが、いまのところ麺とかにも使えます。


「んー少し違いますね」


「そうですか、かなりうまいですけど」


「やはり小麦粉の種類ですかね。もしかしたら他の小麦粉があるかもしれません」


「確かにこのゲームのクオリティならあり得るな」


「小麦もまだプレイヤーは作れてませんしね」


「パスタも作りたいゾ」


「トマト、ランクが上がればな」


 開拓中のこのゲーム、再現するには足りないものが多いです。


 農業ギルドのランクが上がれば手に入るのか、フィールドに自生しているのか不明ですからね。


 砂糖があるので、べっこう飴を作りましょう。


「うまっ、美味しいし、手軽さで言えばダントツで良い!」


「ぐわっ、難しい! 失敗だ」


「まずっ、焦げたぁぁぁぁ」


「奥さん凄い」


「これは子供の頃死ぬほど作りましたからね」


 手軽に食べられ、空腹度もそこそこ回復する。纏めて売るのが良さそうですね。


 何人か筋の良い子がいるので、その子達はなんとか作れるようになります。


「システムで安定して作れるようになれるんでしたっけ?」


「はい。ただそのレシピの隠しパラメーター。熟練度というのが一定以上ないと、自動生成はできません」


「自動生成ができれば、尖った性能ではないけど安定して簡単に作れますね」


 私は必要ないでしょうが、みりんなりだし汁作るときにお世話になりそうですね。覚えておきましょう。


「ただいまー」


「お帰りなさい。おやつありますよ」


「わーーい♪」


 子供達にべっこう飴を食べさせる。美味しい美味しいと孫と同じ顔で言ってくれる。これだけでこのゲームを始めてよかったと思います。


 その後は自由解散と、ラーメン作りですね。麺づくりはもう少し詰めたいところですから。


 シルバさんは漬物用に色々作り、ぬか漬けの準備をします。


「おお、生成できるぞ」


「やった漬物だ!」


「おれ、漬物と白米をたらふく食べたい」


「おれはタマゴかけごはん!」


「かつ丼食べたい」


「パン粉の方はだいぶよくなってますから、今度作りましょうか?」


「いいんですか?」


「はいはい、慌てない」


 そんなやり取りしながら、料理のスキルは順調に上がっている。


 お米も少しずつ、できる量が増えている。これならば売り出しも問題ないだろう。


 イベントが始まる前、私達は仲良くゲームを楽しんでいる。


 戦闘も頑張らないといけない。頑張りましょうねみんな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る