第17話・ダイチの進化

 若葉さんに迎えられ、家に戻ってきた。なんとか全滅にはならなかった。


 ダイチの成長した姿をスクショしたいため、確認に入る。


 進化先は進化、特殊進化に別れていた。



 ストーンゴーレム。岩の力をより増したゴーレム。通常進化。獲得スキル、連弾、頑丈


 ファームゴーレム。農場を耕す大地のゴーレム。特殊進化。獲得スキル、育樹、大地の一撃



 他にも進化先はあるが、アンロックされているのはこれだけ。さてと、ダイチの意見を聞こう。なんとなくわかる。


「ごー………ご、ごっ」


 ダイチはファームゴーレムが良いらしい。というわけで、ファームゴーレムに進化。身体から木が生えたゴーレムになり、強さは増したようだ。


「モンスターの進化は早いですからね」


「モンスターというと、カナリアは?」


「上位精霊に進化するんよ、スキルによって別の種族というより、職業を持つよ」


 夜姫はそういって教えてくれた。


 果樹も育てられるため、木の世話に入るダイチ。


 我々はログアウトした。


 ◇◆◇◆◇


 腰の調子が良い中、妻との会話を終えて二人してログイン。


 ダイチがたくさんの野菜を収穫して喜び、味見として果物を試食する。何個かはお酒やジュースに換えるつもりだ。


 そして手に入れた物を確認する。戦闘人形のカプセルは三つのアイテムを入れると戦闘人形が完成するらしい。


 何を入れるか話をした。


「戦闘人形が生成されるのは珍しいよ」


「そうなのか?」


「うん」


 夜姫曰く、戦闘人形は古代兵器の遺産であり、錬金術の極致の一つらしい。


 戦闘力が高い者は高いし、生産にも通じる可能性もある。


「たぶん、入れるアイテムで決定すると思うよー」


「んーそれなら戦闘系が良いかもしれないな」


 ダイチばかりに前衛させられない。私も前に出るし。


「それなら鍛冶の本とか手に入ったし、新しく作るアイテムにしよう」


 一つはこれ、黒鉄の宝珠。魔攻と攻撃力がかなり上がる高レベルのアクセサリー。


 残りはなににするか、本を読み決めることに。


 私は鍛冶の本を読み、おお、これは作ってみたいというのができた。


「あなた見てください。宝石の布ですって」


「宝石布というのか。魔法職にぴったりの品物であり、前衛の方もご愛用と」


「私はこれと、アクセサリーを作ります。しばらく宝石系アイテムを私にくれませんか?」


「いいよ。しばらくはダンジョンを行き来だな」


「それならシープ達も連れていきませんか? レベル上げすれば美味しいミルクが手に入るそうですし」


「そうだね。新しく仕入れもしないと。全部で何頭にする?」


「牛もいるので七頭に」


 こうして話し合いを終えて、各々行動に移る。夜姫は借りている店に出向き、店員になるために。私達は牧場に出向く。


 牧場では毛も卸して良いよと言う話になり、光の白生地と闇の黒生地を手に入れられた。


「レインボーシープの進化先でね。光属性と闇属性なんだよ」


「ほうほう」


 子供のレインボーシープを仕入れて、これでうちの羊は七頭になり、パーティとチームを組み、ダンジョンへ出向く。


「あなた、テレポート機能を使いましょう」


「なにそれ?」


「ダンジョンやフィールドクリアしたら出る宝玉を使えば、その場所に移動できるんですよ」


「へえそうなんだ」


「私も店のプレイヤーさんから聞きました」


 こうして遺跡の方に移動して、宝石類を探すことにした。まずはレベル上げと、宝石素材を確保する。しばらくこの時間帯はそれだろう。


 ◇◆◇◆◇


 お店の方を確認する。人はそれなりに居て、なかなか売れている。


「どうですかウチの店は」


「料理素材系が豊富ですから、助かってますね。初期の頃は黒パンや簡単な焼き物ばかりでしたが、味噌と醤油のおかげでどんどん増えてますし」


「このレベル帯ならここの探索も可能だな。街道の討伐クエ終わったら、海の方を見に行く予定ですよ」


「できればこの辺りのモンスターのお話を聞かせてくれますか」


「良いですよ」


 丁寧に聞かれたから丁寧に返す。さすがに情報だけ寄越せという子供に対しては怒っている。


 中身が大人だと分かると、すぐに謝る子もいるが、中身はどうあれ、人に聞くのだから丁寧に、マナーは守るべきだろう。


 プレイヤーにも私達がリアル夫婦で、趣味の一環で遊んでいると分かり、色々話したり、説明してくれている。かわりにこちらが持つ情報を渡している。


 エンジョイ勢だし、なんでも話す気は無いが、少しくらいは良いだろう。向こうもその辺りの線引きは分かっている子を選んでいる。


「遺跡で手に入ったレシピ本は気になるな。ドロップするかな?」


「けど考察班が言うには、イベントの奴は誰かがアンロックしてレシピが解放されてるから、次のイベントに期待するのもありだな」


「だけど結構高かったし、周回した方が良さそうよ。風と水なら、問題ないわ」


 向こうも向こうで仲間と話し合い、新アイテムの販売も楽しみにしますと言って帰っていく。


 ちなみにこの後に彼らは何度かマシーンゴーレムと戦い、鉄鉱石を始めとした鉱石や宝石、いまのところレアな黒鉄の宝玉をドロップ。後は遺跡探索で本を一つゲットして解読中とのことだ。


 見逃した本だろうか? それもまたゲームの醍醐味だろうなと思い、私は店を見て回った。

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