第12話・五日目と六日目

 五日目、あと少しでイベントは終わる。


 やることはダンジョン探索や極熟マンゴーを始めとした果物の回収だ。


「私達は木材や石、極熟マンゴーを手に入れるけど、君はどうする?」


「私はショップと町のお手伝いですね。食べ物が足りないから釣りをしたり、味噌と醤油を仕込んだりしてます。その後は古着などを分解するの手伝ったりする程度でしょうか。村長さんの娘さん、まだ小さい子ですが、洋服を作って欲しいそうです」


「へえそうなのか。ダイチ達は私が面倒見ても?」


「もともとダイチ達はあなたがテイムしてるんですから、あなたが傍にいるべきですよ」


「分かったよ」


 そう話し合い別れて私達はダンジョンでは石を採掘、果物は木材も回収している。


「ふう、少し休もうか」


「ごー」


「はーい」


 カナリアとダイチと共に、錬金術のスペースがある場所で休んでいる。若葉さんは村で服作りをしているだろう。


 村の方でもここの場所は話している。一度は調べに来た人もいるようだが、なにもないと思われてスルーされている。


 とりあえず四日目はアイテム集めなどをして過ごし終えて、帰ってからは作物を育てる。


「あなたお帰りなさい」


「ああ、そっちはなにもなかった?」


「実は良い布が見つからなくって。山の方にいるレインボーシープというモンスターの毛が欲しいという話になりました」


 そんなモンスターがいるのか。


「それでせっかくだから、私もテイムしたいと思います」


「そのレインボーシープを?」


「はい。羊さんはミルクも取れるそうですし、いいかなと思いまして」


 それで今度はテイムを使いたいらしい。レインボーシープをテイムしたいそうだ。


「良いでしょうか?」


「いいんじゃないかな? 居れば、帰ってからも布が作れそうだし」


 そう言う話をして、今度は我々で山頂付近を探索することになった。


 ◇◆◇◆◇


 六日目、売るためのものを仕入れられるため、朝は市場と決めている。


 もしかしたら精霊石も売られているかもしれない。そういう意味もあり、調べれば一部手に入った。


 これのおかげで醸造樽と冷凍庫は十分確保できた。


 ポイントもかなりある。ポイントはパーティ資産として登録して使うつもりだ。


「よし、それじゃレインボーシープを探しに行こうか」


「はい」


 こうしてポイントを確保した我々は、山の方の探索に出向く。ある程度の場所は調べればすぐに分かった。


「レインボーシープだよ」


「私がテイムしてみますね」


 とりあえずいま若葉さんとはパーティを組んでいない。チームと言うシステムを使用している。


 チームはパーティ同士で組んで戦えるシステムで、チームのデメリットとメリットがあるが、私達には関係ない。


「テイム!」


 若葉さんのテイムが終わるまで、粘ってみることに。こうしてしばらく経ち、三頭テイム完了した。


「よろしくね。イー、ニー、サー」


「めえ」


 三匹のレインボーシープをテイムし終えて、一休みする。レインボーというだけあって、七色の毛を持つ。倒せば毛をドロップするらしい。


「とりあえずこの子達の毛を切れればいいんだけど」


「まあ、失敗したときに倒したレインボーシープの毛があるから、最悪はそちらを使えばいいよ」


「そうですね」


 そう話し合っていると、インベントリから宝玉が出てくる。


「ん?」


 なにかに反応しているようで、イベントだろうか?


「なんでしょう?」


「行ってみようか」


「まだ時間がありますし、そうですね」


 こうして宝玉に導かれるように進んでいると、崖下へとたどり着く。


 光が強くなり、大きな光が輝くと、目の前にある岩壁が消えて、進む道が現れた。


「隠し通路だろうか?」


「凄い仕掛けですね」


 その先へと進んでみる。


「ボス部屋だ」


「あなたたちは下がっていなさい」


 透明な壁が現れ、若葉さんはすぐにシープ達を下げた。


 そして私達は前に出て、現れたハイゴーレムというモンスターと対峙する。


「防御力を上げるよ。ディフェンスアップ」


「ストライクアップ」


 ダイチの攻撃と防御力を上げて、ダイチがタンクをする。


 私達は後ろから攻撃を加えて、なんとか戦えていた。


「ダイチ耐えてくれ」


「がんばれー」


「ご………ごおぉぉぉぉぉぉぉぉ」


 ダイチが気合を入れて攻撃を繰り返して、ついにモンスターを撃破した。


「やった」


「よくやったダイチ」


「ごー」


「わーいわーい」


 手に入ったアイテムは大地の宝玉というアイテム。アクセサリー装備だな。


 他にも素材アイテムを手に入れて、奥へと進んでみる。


「棺桶がある」


「なんでしょうか?」


 隠し部屋のように隠された棺桶。ここまで導いた宝玉が光り輝く。


『宝玉を使いますか? YES NO』


「んーYES」


 私はとりあえず使うことにした。光が辺りを包むと、棺桶が開き、あくびをする声が響く。


 棺桶から出てきたのは、小さな少女だった。


「よく寝た」


「あなたはだあれ?」


 カナリアが尋ねると、静かにコウモリの翼を広げて言う。


「我は夜闇の使徒。ヴァンパイアの者」


「あらあなたが噂のヴァンパイアさんですか」


「知ってるの?」


「確か、昔住んでいて、いつの間にかいなくなったと、村人は話してました」


「それ嘘」


 話を詳しく聞いてみると、寝ていたところ、何者かに封印術を使われて封印されたらしい。


 使ったのは錬金術欲しさに来ていた王族関係者とのこと。


 隠し部屋のことは隠してあったから、問題ないだろうと話したところで、例の錬金術スペースの話をすると、どうもいままで未発見だったようだ。


「見つけられなかった王族ざまあ」


「それはよかったね」


「これからどうするのあなた?」


「どうしよう」


 さすがに月日は経ちすぎて、いまさら村の中に住むのも気が引けると話をする。


「ならウチに着なさいな」


「えっ?」


 ならばと若葉さんがウチに来るか話をする。


「いいんか?」


「いいわよ。いいですよね?」


「ああ」


「やったー」


 こうしてヴァンパイアの少女。名前は『夜姫(よるひめ)』と名付け、テイムモンスター扱いで連れ帰ることになった。

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