第13話・最終日まで

 夜姫を連れて帰り、その後は普通に過ごした。


「ありがとうございます」


「いえいえ」


 村長の娘さんが可愛らしいワンピースを着込んでいる。あの後、レインボーシープの毛を刈ることはできなかったため、ドロップ品でどうにかした。


 とはいえ少し大変だった。七色の毛を丁寧に分けて、足りない分を取りに出向いたからね。


 だけどそのかいあって綺麗な布を手に入れて、可愛らしく仕上げることができたのだから、よしとしよう。


 その後は市場で物を売ったりする程度で、イベント終了日まで過ごした。


「えっ、他の参加者はこことは違う島なんですか?」


「ああ、どうも反応からしてそうらしいんだ」


 どうも同じ島で活動しているわけではなく、よく似た島だったり、違う島を楽しんでいるようなのだ。


 それでも私達はこの島に来れてよかったと思う。


 試しにここによく来る船は、どの町から来るか聞いてみた。さすがに私達がいた港から来るわけではなかった。


 そんなこともあり、最終日には村長達に呼ばれ、村でお祭りが行われた。


「ここに来てくれた人達のおかげで、ここで新しい事業など起こせるようになりました」


 他のプレイヤー達も、進めているうちに開拓関係の依頼などが来たりしてたようだ。内容の中には戦闘系のこともあり、ここの島の人はプレイヤーに感謝しているようだ。


 ともかく、大きなトラブルも無く、イベントを終えることができた。


 何人か知り合いになった冒険者もいたが、さすがに北の町の傍で無い為、会うことはもうない気がする。まあまた縁があればというやつだ。


 こうしてイベントは終了して、私達はログアウトした。


 ◇◆◇◆◇


 イベント後、ホームページでランキングと言うのが発表された。どの島の、どこが一番発展できたか説明が入る。


 私達の島はだいぶ良いらしく、10位内に入ることができた。そのために報酬ポイントが支払われ、だいぶ交換リストは期待できる。


 交換リストはゲーム内で交換するため、しばらくは休むことにした。


「長くできてよかったですね」


「ああ」


 腰の調子は良く、うまくオンオフの切り替えもできているだろう。


 今後もゲームを続けられそうだし、しばらくすれば追加発注でゲームが売られるだろう。人も増えれば良いな。


「孫も来られると良いんだが」


「楽しみですね」


「ああ」


 そうして過ごしながら、次は何をするか。私達は楽しみに過ごす。


 とはいえこの時はまだ知らないが、私達が持つ錬金術のスキルは一番高く、それにより手に入る恩恵は、前線で戦うプレイヤーからしたら、喉から手が出るほど、重要なスキルだと知らず、のんびりと過ごす。


 まあ私達はのんびりとやれればそれでいいだろう。


 ブログのスクショは、最終日に揃った人達の写真を上げて、ゆっくりと過ごすのであった。

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