第5話・パンを焼く

 休憩、ストレッチ、食事などを終えて三度目のゲーム世界。一突き兎を追い払うことから始まる。


 とりあえずこいつらは金になる。他には無いか、冒険者ギルドでクエストを見て、やることにした。


「よいっしょっと」


 牛乳配達のクエスト。運ぶ牛乳はインベントリに入らず、落とさないように気を付けて町の施設へと運ぶ。


 若葉さんと共に働くが、これは報酬が美味しい。


「ありがとうございます。では報酬金と美味しい牛乳です」


「ありがとうございます」


 美味しい牛乳がもらえた。これでシチューを作るらしい。


 私はその後は教会で調合のお手伝いだ。下級マナポーションや解毒薬、下級病気の薬を教えてもらい、調合のスキルを上げていく。


「4か、あと少しで5だな」


「5になると素人からはマシになるね。そこから薬師が始まるよ」


「そうなんですか」


 教会でいつもお祈りしていたら、『マテリアルの加護』が私に付いた。ここはマテリアル様の教会らしい。生産の成功率と品質アップに微小補正が付いた。


 私はメイスを持って、無理やりフィールドを探索した。


 一匹や二匹倒したら離脱を繰り返し、薬草などの薬の材料を集め、死に戻った。ステータス半減だが、初期スタート特典で一回アイテムロスト、所持金半分のペナルティは無しで済んだ。


 ステータス半減しているから、私は調合をし続けた。薬師ギルドで下級病気の薬の納品もあるし、頑張ろう。


 レベルが5になり、アーツが解放された。成分抽出と乾燥と言う。


「成分抽出は物から成分を抽出するアーツ。乾燥は水分を飛ばすアーツか」


 私はヒールベリーに成分抽出を使う。すると『回復液体』というのが採れた。おおっ、これが成分抽出か。


 残りかすを見るが、もう少し成分が残ってそうだ。回復液体は回復する元が取れたんだろう。なら残りは?


 色々な成分を考えながらアーツを使うと『ヒール油』が採れた。油が採れるのかと思い、これで完全に搾りかすになった。


 スキル欄を見ると、製作可能アイテムがある。


 錬金術スペースで搾りかす×5個で、肥料に変えられる。とりあえず作ることにした。若葉さんが戻ってくると、まあまあと喜ばれた。


「油と牛乳があればバターが作れます。試してみますね」


「なら私は他にないか探してこようか」


 病気の薬を納品してお金も欲しいし。


 そう決まり、油を渡して私は町へ。若葉さんはキッチンで活動し出した。


 ◇◆◇◆◇


 薬師ギルドで納品を終えて、町を探索。


「これはなんですか?」


「家畜の餌として人気の豆だよ。食べるものがないときはこれを炒って食べられもするよ」


「豆ですか」


 これからも油が採れそうだ。一袋購入して、探索を続けると、人だかりができている。なんでも別の町からの行商人が来ているらしい。品物を見せてもらった。


「この本はなんですか?」


「読んでみますか?」


 読んでみたら『錬金術の書:初期』と『錬金術書物・森と共に』と書かれている。


「おお、読めるのか。タイトルしか分からなかったんだ。読めるなら買い取るかい?二つで300Gでいいよ」


「安いですね」


「読めない本だから、読める人が持ってくれた方が本も喜ぶよ」


 おそらく【異世界言語理解スキル】のおかげだな。これを買い込み、釣り針と糸が売られている。これも買っていこう。


 こうして家に戻ると、畑に一突き兎が。


「こらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 一突き兎を蹴散らした。畑を見るとすでに一部食われ、一部実っていた。ゲームの中だから芋の実ことジャガイモはすぐにできたようだ。


 なんとかしないと次も食われるな。とりあえず家に戻ると、バターを必死に作り、試作品ができていた。


「うん、これはこれで美味しいね」


「豆の方の油だとどうかしら?」


 豆の方だと『植物油(豆)』ができた。残りかすは肥料に変える。


 本を読んでいると、少しずつ分かっていくようで、スキルレベルも上がる。


 錬金術のレベルが3くらいになると、できる物が分かった。


 植物のツタからロープ、木材からクワとスコップが作れる。


「今度森に行くか」


「森も危険ですよ」


「それでも、木材が無いとな。今度はまだあと二回、アイテムロストとか無いから、行ってみるよ」


「なら私も付いていきますよ」


「おお、それなら頑張らないとな」


 とりあえずバターを作り、それは『ヒールバター』と名付けた。


 ヒールバターでパンを焼き、白いパンを作ることができた。


「小麦が町で売られてて助かりました」


「おおっ、うまそうじゃないか」


 試しに食べてみるが、うまいうまい。


 数を揃えないといけないと話し合い、とりあえず白いパンをスクショして、ブログに載せることにした。


 その後はゆっくり現実で過ごすことにしたよ。

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