第2話・北の町

 プレイヤーは東西南北の町からスタートする。私達は雰囲気が良いから北のスタート地点を選んだが、実はここ、周りのフィールドで出てくるモンスターの落差が大きいらしい。つまり急に難しくなる。


 だからなのか、海が傍にある田舎町と言ったところか。港はあるが船は漁船くらいしかなさそうな雰囲気。


 見た目は中世時代と言ったところの街並みがあり、広間で数人頑張るぞと言って気合入れたり、独り言をしているプレイヤーがいる。あれは配信してるんだろう。


 ここの配信機能は高めらしい。難しいところで視聴者を集めようとするプレイヤーもいるらしいな。ちなみに映らないように設定ができるため、私達はNG設定にして他のプレイヤーの動画に映らない。


 そうして広場で待っていると、茶色の毛並みをしたコボルトが近づく。


「シルバさん、お待たせしました」


「おお、『若葉』さん」


 妻のプレイヤーネームは若葉で通ったらしい。若葉マーク、新人と言った意味で付けた。


 若葉さんはジョブを裁縫師、サブを料理人にしてこう設定した。



 名前:若葉 種族:コボルト 性別:女性


 メインジョブ『服飾師』 サブジョブ『料理人』


 スキル欄


 生産系スキル


 裁縫スキル:1 料理スキル:1 錬金術:1


 戦闘スキル


 神聖魔法:1 従魔術:1


 その他


 異世界言語理解スキル:1 鑑定:1



 うん、私と変わらない。


「まずは冒険者ギルドで登録ですね」


「ああ。開拓者スタートだから、村長にも挨拶しよう」


 私達はまず村長に挨拶に出向く。相手は町長さんで、犬の獣人さんだった。


「町長の『ロドニー』です。これからよろしくお願いします」


「はいよろしくお願いします」


 この町は最近、大きな船が呪われた海域の所為で進めなくなり、地続きの王都から色々仕入れるしかない町で、少し人離れが多くなっているらしい。


 名産らしい名産は無く、この辺りを精霊人に期待しているそうだ。


 精霊人はプレイヤーのことを言う。プレイヤーは世界神という存在から身体を受け取り、この世界に降臨した異世界人。という設定だ。


 開拓の話もできる限りする約束をして、次は冒険者ギルドで登録だ。


 クラン設定もしておく。クランは仲の良いプレイヤー同士が組むチームのようなものだ。私達はこれをするのは、仲良く趣味をするため。


 登録を終えると称号が手に入る。称号はあればあるだけ効果があり、今回で【北の見習い開拓者】の称号が手に入る。


「お前さん、私のは少し多いです」


 若葉には【マテリアルの友人】が付いている。話を聞くと、大変そうだからありがとうなど、少し会話をしただけらしい。あの天使さんがマテリアルという神様、女神様らしい。


 生産スキルの成功率と品質アップだから、もらえるものはもらっていて損は無いだろうな。


 次に私達は自由区、与えられる畑などの土地を見に行く。


 見に行ったが、少し木の枝や石が転がっている。だが代わりにそこそこ広い土地をもらえた。


 設置可能範囲を、土地の管理を手伝う役人に聞きながら設置する。小川が流れる傍に設置した。


 まずは畑、納屋、納屋の隣に錬金術スペースを設置する。


 妻も同じように設置、服飾師のアトリエとキッチンを設置した。外には竈も設置する。これでパンが焼けそうだ。


 米は無さそうなのは残念だが、なに、そのうち見つかるだろう。


「この後はどうしますか?」


「レベル上げはパーティを組んでいれば、町の周りは問題ないが、私達は街中で生産して経験値を貯めようか」


「ですね」


 経験値はクエスト、冒険者ギルドの依頼掲示板で探すことができる。後は他にやれることを確認だな。


 この世界でスキルを手に入れるには、スキルツリーで眠っているスキルを起こす必要はある。まずは行動してアンロック可能状態にして、ステータスポイントを消費することで習得する。


 ステータスポイントはレベルアップ、称号獲得、ユニークイベントの報酬などで手に入る。


 ステータスはというと。


 筋力は重い物を持てる数値であり、物理ダメージを出す数値だ。こいつが低いと装備できない物もあるから注意がいる。


 耐久、物理ダメージをどこまで防げたりする。これが低いとかなり苦労するだろう。


 器用、生産職にとっては生命線。ゲームアシストで弓矢が当たったり、魔法を当てたりするのに必要な数値。


 敏捷、身体を動かす数値。高ければ高いほど、人間離れした動きができるらしい。


 知力、魔攻とも呼ぶ。魔法攻撃力を出す数値。魔法関係の成功率を上げる。


 魔法力、魔防とも呼ぶ。魔力防御率。デバフも高ければかからないらしい。デバフは言ってしまえば鎖やペナルティみたいなものだ。


 それと生命力はHPで精神力はMPだ。


 妻は回復のできるヒーラーであり、私は剣攻撃が可能の前衛というものだ。初心者の園がある東のスタートなら問題ないが、ここだともう少し仲間が欲しい。


 もう一つのスキル習得。お金を払い、スキルのアンロックもしてもらう方法がある。他にはイベントで手に入るとのことだが、その方法は未発見だ。


 スキルのお金で解放は冒険者ギルドで解放できるので、私は薬師のスキルを開放しようと思う。


 調合、採取の二つのスキルを開放することを決めた。


「じゃあ、私はパン屋のお手伝いをしてきます」


「分かった」


 こうして一度若葉さんと別れ、ゲームを始めた。

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