第2話 

 父は今では高齢ですが、昔は配管工の零細企業の社長でした。私も二年間。配管工として父の会社で働いた時があります。

 

 新潟県にいた幼少期は、私が何か悪いことをすると、父は決まって刑務所付近に連れて行き。幼かった私を車から降ろしては、何十分と刑務所の近くを歩かせるため。その道に置いてしまいます。

 先に行った。父の車を追いかける時は、心細く。罪悪感や、ある種の世間に対する恐怖を感じました。


 茨城県に移り、私が中学生になると、父は怒鳴ることが多くなりました。

「おめぇは、女の腐ったような奴だ!!」

 何度も言われた言葉です。

 時には、父はヤクザの集団を用いては、私を脅しました。


 就職先は東京の会社で、三か月間いました。当然、父と会いたくなくて、東京に引っ越しましたが。すると、毎日母から携帯の電話がかかってきては、土日に父と母が私の寮まで必ず来てしまいます。

「ふん、こんなもんか」

 父が私の1LDKに土足であがるようなことをすると、私の寮を見まわして言った言葉は、今でも覚えています。


 三か月後に、視線恐怖を発症した私が茨城に戻ると、父は取り分け優しくなりました。私は何も知らずに、父の仕事を手伝いました。

 その時の視線恐怖を診たカウンセラーは、胃潰瘍持ちの父に、社長もしているので繊細な心があると言っていましたが、同時に酒乱ですか? とも言っていました。


 どちらでしょう?

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