第19話

 チャイムを鳴らすとインターホンからは可愛らしい女性の声が聞こえてきた。とても落ち着いた感じの声で、知的な雰囲気を感じさせてくる。


「お待ちしておりました」


 出てきたのはお母さんらしき女性だ。


「こんにちは、家庭教師を担当させていただきます岩崎っていいます」


 そう言って名刺を渡すと女性は快く受け取ってくれた。とても優しそうな人で、良好な関係を築けそうだ。


「さあ、上がっていってくださいな」


「いえ、喜ばしいお誘いなんですがこの後予定がありまして」


「あらそーなの。残念。なら娘に一度だけ顔を合わせてみてくださる?」


「はい、それなら」


 奥様に連れられて家の中に入ると何やらいい匂いが僕の鼻をくすぐる。なんだろう、カレーかな。昼からカレーなんて大胆だ。


 僕は昼食をカレーにすることを決めると、奥様の案内に連れられて娘さんの部屋の前に立った。


「藍李ー。家庭教師のお兄さんがご挨拶に来てくださったわよー」


 部屋から返事はない。

 最初だから緊張しているのかな?僕も家庭教師の始めたての頃は生徒さんと話すことが苦手だったが、今はまぁ、ましにはなったかな。


 とはいっても初見の生徒さんには心を許すまで少し時間はかかるんだけど…相手も緊張してたらなんとなく冷静になれることがある。


「ごめんなさいねー、ちょっと人付き合いが苦手な子で」


「全然構いませんよ。僕も同じようなものなので」


「そうなの?人馴れしてそうな雰囲気ですけれど」


「はは、ありがとうございます」


 扉の向こう側からガサガサと聞こえてくる。奥様の声は聞こえてるんだろうけど、出てきてくれないとこれからの関係がな。


「藍李ー、出てきなさい」


 それでも返事がない娘さんに激昂したのか奥様は無理やり扉を開くと娘さんの部屋が明らかになった。

 部屋は質素な感じで必要最低限な家具しか揃えられていない。


 ミニマリストな生徒さんかな??


「な、なんで勝手に開けるの?」


 肝心の生徒さん、愛李ちゃんを見てみると手鏡を持って前髪を整えている様子だった。

 わざわざ僕のために、というのもなんだが気にしてくれたのだろうか。僕は生徒さんがどんな見た目だろうと気にしないけど。


 でも気を遣ってくれていることには感謝の意を示したい。多分、とってもいい子なんだろうな。


「こんにちは。僕が今度から家庭教師を担当させていただくの岩崎っていいます。これからよろしくお願いしますね」


「あ、私は愛李っていいます。よろしくお願いします」





 ~~~~~~~


 続き書こうか迷っていたら、いつの間にかフォロワー数が2000人突破、星が700を突破していました。

 本当にありがとうございます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る