第17話 私の復讐計画

 屈辱的だ。

 私が男に振られるなんて。他の女に狙いの男を盗られるなんて。


 油断していた私が悪かった。もともと侑都の顔がいいことは知っていた。それはそうだ。

 だって私と侑都は幼稚園の頃から共に生活してきた幼馴染なのだから。


 侑都が私のことを好きだということも分かっていた。でも侑都は自分を磨こうとしない。

 一度でも髪を切って素顔を周りに晒せば彼が一瞬で女どもの獲物になるのも分かっていたのに…どうしてこうなってしまったんだろう。


 男遊びなんてせずに告白されたときに受けていれば良かったのだろうか。侑都はいつまで経っても私の物だと思っていたのに。


 連絡先を消してしまったのは本当は私ではない。元カレにスマホをチェックされたときに半ば強制的に消されてしまっただけなのだ。


 どうせまたいつか交換するだろうと放っていたのも私が悪い。侑都はいつの間にか髪を切って、周りに余計な虫がたかるようになってしまっていたんだ。


 …だがこんなことで諦める私ではない。

 侑都には二度と近づくな、と言われてしまったけど私と侑都は幼馴染。いうなれば腐れ縁。切れることのない関係で結ばれている。


 侑都に前、酷いことを言ってしまったことは誠心誠意謝ろう。

 侑都が私を許さなかったことなんて今まで一度もない。たとえ私がどんなにおかしなことをしようと、侑都は笑って許してくれた。


 今回のも笑って許してくれるよね侑都は。だって私のことが大好きな幼馴染だもんね。


 言っておくけど私は面食いなんかじゃない。

 今まで色々な男と付き合って来たけど、侑都を超える男と出会ったことはないし、身体も誰にも許していない。


 前に無理やりホテルに連れ込まれたけど、どうにか逃げれたし。


 まだ私は処女なんだよ?

 侑都は処女の方がいいよね。昔、高校生の頃にそう言ってたもんね。

 私はしっかり覚えてるよ。

 偉いでしょ?


 虫けらどもから解放されたときには、私のことをいっぱい愛でてね。愛してるよ、侑都。








 ~~~~~~~~~~~~


「うわっ」


 和泉さんを家まで送って、その帰り道。

 突然の寒気に僕は夜中に道の真ん中で大きな声を出してしまった。


 なんだろうか。すごく嫌な予感がするのはなぜだろう。


 僕は辺りをきょろきょろと見渡してみた。

 もしかして赤星さんが尾行しているんじゃないか、という懸念が沸いたからだ。


「いない…な」


 どうやら大丈夫らしい。

 まぁ、たまに原因不明で鳥肌立つことあるし今のもその類か。気にしなくていいだろう。


 僕はそのまま家に帰るとその日は寝たのだった。





 朝になりスマホを見ると数件の連絡が来ていた。送り主は全て和泉さんでデートをお誘いだった。


 僕から誘おうと思っていたのに先を越されてしまったな。和泉さんは女性に多い受け身じゃなくて、積極的に攻めてくるタイプらしい。


 僕も自分から行動しないとな。

 女性に引っ張られてばっかりじゃ男の顔が立たない。


 昨日突然告白されたときはびっくりしたな。

 でも告白されたとき、嫌な気持ちは一ミリもなかったしむしろ嬉しかった。

 多分僕の運命の人は和泉さんだと思っている。


 連絡を返すとほんの数秒で返事が返ってきた。家の前で待っているとのことだ。


 早くね、と思ったのは秘密だがそれだけ僕とのデートを楽しみにしてくれていたのだろう。


 僕はささっと着替えると家を出る。


「あ、おはようございます侑都さん」


 そこには満面の笑みを浮かべた和泉さんが立っていた。

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